すっかりおなじみとなった「ふるさと納税」。
返礼品に加えてもう1つの魅力だった仲介サイトからのポイントの還元が、10月から禁止になる。
「ポイントが後押しになってきたのに」と寄付をしてきた人からは落胆する声があがり、高額の寄付を集めてきた自治体側は「寄付額の伸びが鈍化・停滞すること」を心配している。

■ふるさと納税「仲介サイトからのポイント還元」禁止に!
自分が選んだ自治体に寄付することで返礼品を受け取ることができる「ふるさと納税」。
寄付額は年々増加していて、昨年度はおよそ1兆2,700億円と過去最高を更新した。
この人気を牽引してきたのが、楽天市場などの仲介サイトから還元される「ポイント」。
しかし、10月からこのポイント還元が禁止になるのだ。

■「めちゃめちゃ残念」利用者はガッカリ
神戸市に住む、ふるさと納税歴5年の新藤里恵さん(46)。
ポイント還元禁止を前に、“駆け込み寄付”の真っ最中だ。
新藤里恵さん:子供のリクエストにもあったお肉のセット。毎月色んなお肉が届くものとか…。
-Qまだカートに入った状態?
新藤里恵さん:そうですね。ポイントが上がるのを待っています。楽天が試合に勝ったらポイントが3倍とか、ちょっとしたキャンペーンがあるので。
出身地の山口県に寄付をしながら、ポイントをもらえることを楽しみにしていただけに、落胆の色を隠せない。
-Qポイント還元があることがふるさと納税の後押しにはなっていた?
新藤里恵さん:めちゃめちゃなっていました。プラスアルファで(ポイントが)返ってくるっていうのはすごく魅力的だったので、めちゃめちゃ残念です。

■「ふるさと納税は公的な税制上の仕組み ネット通販であってはならない」と総務大臣
なぜ、人気の高まりに寄与してきたポイント還元が無くなるのだろうか。
村上誠一郎総務大臣:公金を使用した公的な税制上の仕組みであり、いわゆるインターネット通販であってはならない。付与率に係る競争が過熱することが、ふるさと納税の趣旨にのっとった適正なものとは言えない。
国は、ポイントの還元率などが寄付先を選ぶ基準となっている状況に待ったをかけたのだ。

■国に振り回される自治体、不安隠せず…
困惑しているのは利用者だけではない。
年間およそ180億円の寄付金を集める大阪府泉佐野市は、国の決定に不満を漏らす。
泉佐野市ふるさと創生課・塩見健課長:大きな制度改正を国がすると(自治体は)それに振り回されるようなことにも感じているし。民間のポータルサイトが切磋琢磨してその中で(自治体の)存在をアピールできるのは悪いことではない。
さらに、来年度以降の見通しについては、こう不安を口にした。
泉佐野市ふるさと創生課・塩見健課長:今まで(寄付額が毎年)15パーセントくらい伸びてたものが、鈍化するとか停滞するとか懸念があるのも事実。

■新たな競争の心配も…
専門家は、「ポイント還元に代わる新たな競争が始まっている」と指摘。
”ふるさと納税ガイド”を運営 株式会社カリーグズ・福田航太代表:同じ人気商品の返礼品でも、うちのサイトだけ安いですよとか、同じ返礼品かつ同じ価格でもうちのサイトだけちょっと量が多いですよとか。返礼品の質の差別化っていうのを各ポータルサイトが始めている。
応援したい自治体に寄付する「ふるさと納税」。
今回の制度変更によって、原点に立ち返ることはできるのだろうか。
(関西テレビ「newsランナー」2025年9月26日放送)
