「中秋の名月」を前に、“令和のコメ騒動”の影響が、もち米にも及んでいた。

「一挙に上げたら、お客さん引いちゃう」

10月6日は「中秋の名月」。恒例のお月見に、欠かせないものと言えばお団子。

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記者リポート:
入ってみますと…ズラーっと和菓子が並んでいます。あ、団子は2種類あり110円と買いてあります。

イット!が訪ねたのは、創業1937年という東京・板橋区の老舗和菓子店。
店の名物はこちら。

しっかりと焼き目をつけた団子に、優しい甘さが広がる醤油だれをたっぷりと絡ませた「たれ団子」。1串110円。

もうひとつ、自家製あんこたっぷりの「よもぎ団子」も110円。

客:
ちょっとこんなに安くていいのかな、って思っちゃいました。
客:
(値段)ありがたいです(Q.家族と食べる?)孫とか娘とか。

そんな安くて美味しい味で愛されてきた老舗が、中秋の名月を前にアタマを悩ませている。

和菓子商 三木家・鶴見松夫店主:
注文は来てるんですけど、値段はちょっと待ってくださいって言ってる。(去年と)値段違うじゃないって言われるのも困るので。

予約が入り始めた「月見だんご」の値段をどうするか。
というのも、原料となる「もち米」の仕入れ値が、このところ異常に高騰している。

もち米のブランド米「こがねもち」は、2025年に相次いで値上げが行われ、10月の仕入れ値は2万9400円だとか。

和菓子商 三木家・鶴見松夫店主:
去年(正月用)のお餅つきをやったときは1万2100円だったんで」。そうですね倍以上。

急激な値上げの背景にあるのは、“令和のコメ騒動”。
その影響が、もち米にも及んでいた。

和菓子商 三木家・鶴見松夫店主:
何かコメ騒動になってから「もち米」を少し減反して、食べる「うるち米」にした方が、畑の利益がいいと言って。

生産の現場では、作物をもち米から主食用の米に切り替える農家が増加。
その煽りでもち米も争奪戦へ。

相次ぐ原材料の高騰で、この店では2024年6月、名物の「たれ団子」を10円値上げ。

さらに、この春には団子を作る機械にも手を加えた。

和菓子商 三木家・鶴見松夫店主:
生地を入れて串をさして、下からお団子になって出て来る機械です。

出てくる団子の大きさを数ミリ小さくすることで、これまでの100個分の材料で108個の団子を作るという“苦肉の策”で何とか値上げを回避。

しかし、そうした工夫ももはや限界だという。

和菓子商 三木家・鶴見松夫店主:
今110円。去年6月のまんま(の値段)で頑張ってるんで、同じ利益だったら(理想は)140円くらい。でもそんな一挙に上げたら、お客さん、ちょっと引いちゃうので10円上げようかなと。
(「イット!」9月25日放送より)