今週は「動物愛護週間」。愛護団体の代表として精力的に活動する俳優の杉本彩さんを訪ねました。今、力を入れるのは、「動物虐待」をなくす取り組み。違反者への罰則を強化する法律の改正を求め、署名活動も続けています。
動物愛護の活動に取り組む俳優の杉本彩さん。
動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「動物を幸せにするのも人間、不幸にするのも人間。本当に人間の責任は重い」
9月21日、兵庫県で250人を前に「動物との共生」について語りました。
杉本さんは11年前、公益財団法人「Eva」を立ち上げ、ペットの保護や啓発活動などに取り組んでいます。
今、力を入れているのが動物愛護法の改正に向け「虐待罪の厳罰化」を求める活動です。「動物虐待」とは、みだりに動物を殺傷したり暴力を加えたりする行為や、必要な世話を怠る飼育放棄することなどをさします。
今の法律では、「殺傷の罪」に5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金。「飼育放棄などその他の虐待行為」には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が課されますが、この罰則強化を訴えるきっかけとなったのが―。
動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:(2024年5月):
「こんな判決でいいのか本当に悔しくてたまらない」
涙を流し悔しい表情をみせる杉本さん。
2024年5月、長野県松本市の販売業者による虐待事件の判決内容に、強い不満を表しました。
2021年、「Eva」の告発で業者が、1000匹近い犬をケージに閉じ込め、世話や掃除を十分行わずに繁殖をしていたことが明るみに出ました。
麻酔を使わず帝王切開をしていたこともわかりましたが―。
「殺傷」と「虐待」の罪に問われた元代表に言い渡されたのは、「執行猶予付きの懲役1年罰金10万円」。
裁判所は、「極めて悪質なネグレクト」としたものの、「猟奇的な殺傷とは言えない」と理由づけました。
動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「罪の重さに見合った判決ではない。厳正に裁かれていない現実が、どうやったって受け入れがたい、おかしいとしか思えない。悪質な動物虐待の抑止のためにも虐待罪の(罰則の)大きな引き上げは絶対に必要」
全国で後を絶たない動物虐待。「Eva」にも多くの情報が寄せられますが、そのおよそ7割は「不適正な飼育」によるものだといいます。
参加者:
「営利目的(だけの飼育)なのがとても悲しい」
「動物を『モノ』として思うことがよくない。法改正することで、もっといけないことだと認識し、命を大切にすることにつながっていく」
「Eva」が毎年、動物愛護週間に合わせて作るポスター。2025年のメッセージは「声なき命にあなたの声を」。被害を訴えられない動物に代わって声を上げようと訴えます。
この中で杉本さんが抱いているのが保護犬「ぺろ」。過酷な環境を生き延びました。
動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「100頭ぐらいの繁殖犬が施設の中にいたが、多くの犬たちが亡くなった」
県外の繁殖業者による虐待です。犬たちはふん尿が堆積した狭いケージで過ごし、食べ物や水も十分に与えられませんでした。
100匹のうち生きて保護されたのはわずか30匹余りでした。
動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「(ぺろは)仲間たちが目の前で苦しみながら死んでいく姿をどんな気持ちで見たんだろうと想像すると、本当に胸が詰まる思い」
1973年の制定以来改正を重ねる「動物愛護法」。業者による虐待が相次ぐ中、次の改正に向け制度や罰則の強化を求める動きが広がっています。
杉本さんが講演会で訴えたのは最後まで「命」に責任を持つ姿勢です。
「家庭でともに暮らすペットについても、自分に何かあったときどう守るか、考えてほしい」と話しました。
罰則強化を求める署名活動は2024年7月に始まり、これまでに約12万人分の署名が集まりました。
動物環境・福祉協会Eva・杉本彩理事長:
「人と動物が安心して暮らせる穏やかな社会が人にとっても幸せな社会。それを守っていくため、きちんと法改正されるべき。長野県松本市の虐待事件で犠牲になった犬たちの痛みを無駄にしないためにも、この次の法改正、虐待罪の厳罰化の実現を必ず成し遂げたいと思っています」
なお、署名をしたい方は、「Eva」のホームページから用紙をダウンロードし、記入後、Eva宛てに郵送してほしいとしています。