長野県中野市で男女4人が殺害された事件の裁判。検察側は「4人を殺害した結果は重大で、他に類を見ない悪質な犯行」などとして、青木政憲被告に死刑を求刑した。9月26日、弁護側の最終弁論が行われ、裁判は結審する。

猟銃とナイフで襲われ4人が犠牲

殺人の罪などに問われている中野市の青木政憲被告(34)。

起訴状などによりますと、2023年5月、散歩中の女性2人と駆けつけた警察官2人をナイフと猟銃で殺害したとされている。

事件現場(2023年5月)
事件現場(2023年5月)
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9月4日から始まった裁判員裁判。「責任能力」と「量刑」が主な争点で、検察側は、犯行当時、完全な責任能力があったと主張しているのに対し、弁護側は、精神疾患により、善悪の判断力などが著しく低下している「心神耗弱」の状態だったと主張している。

青木被告はこれまでの裁判で、検察側、弁護側、遺族などからの全ての質問に黙秘を続け、事件については何も語っていない。

遺族11人が心境や思い述べる

9月24日の裁判は、まず、4人の被害者の遺族11人の意見陳述が行われ、現在の心境や判決への思いなどを述べた。

亡くなった警察官の弟:
「被告が奪ったのは命だけではありません。家族の絆、日常の安心、未来への希望、全てを壊しました」

亡くなった警察官の妻:
「何も語らず、反省や後悔の言葉すら述べず責任から逃げている被告の卑怯な態度が心底許せません」

事件現場(2023年5月)
事件現場(2023年5月)

亡くなった女性の夫:
「4人の命を奪っておきながら、この先も生き延びるなんてあり得ません」

亡くなった女性の次男:
「死刑しか望みません」

検察側「善悪の判断力あった」死刑求刑

そのあと9月24日午後3時前から始まった検察側の論告。責任能力については、「犯行を目撃され、通報されると思っていたこと」「母親に『絞首刑は嫌だ』と言っていたことなどから、犯罪の重大性を的確に認識していて、善悪の判断力はあった」とした。

長野地裁(2025年9月25日)
長野地裁(2025年9月25日)

さらに、あらかじめ凶器を用意しながら、目撃者には危害を加えていないことから、「犯行当時、自身をコントロールできていて、合理的な行動がとれていた」とした。

その上で、「他に類をみない悪質な犯行で、刑事責任は極めて重大。妄想症を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない」として、死刑を求刑した。

青木被告
青木被告

青木被告は、取り乱すことなく落ち着いた様子で目をつぶりながら聞いていた。

裁判は9月26日、弁護側の弁論が行われ結審する。弁護側は、「犯行当時、心神耗弱だった」として刑の減軽を主張する見通しだ。

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長野放送
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