「おてつたび」という、旅行先の短期アルバイトで稼ぐ新たな仕組みがある。人手不足に悩む地域事業者と、農作業などを手伝う「おてつびと」をマッチングするもので、全国的に取り組みが広がっている。

短期アルバイトをする事で報酬だけでなく宿泊場所も提供され、仕事を通して地域の人達と交流できる事も魅力だ。今回はクリの産地、宮崎県小林市須木での「おてつたび」を取材した。
地域と触れ合う短期バイト
小林市須木では、特産のクリがたわわに実り、収穫シーズンを迎えている。

9月1日から販売フェアが始まった「すきむらんど」では、農家からの入荷や袋詰めなどの作業で一気に人手が必要になり、「おてつびと」を募集。この日、すきむらんどで「おてつたび」に参加したのは福岡県の女性だ。

買い物客:
これ好きなんです。ほくほくしている。
福岡県からのおてつびと:
渋皮が取れやすくて、食べやすいのが魅力で、今の時期しか穫れない。きのう焼き栗を頂いたんですけど、甘みも強いですし、トロッとしてて、食べた事の無い味だった。
女性はこれまで兵庫県の有馬温泉で2週間働くなど、「おてつたび」は3回目。今回はクリの計量や袋詰め、接客などを5日間手伝った。

福岡からのおてつびと:
子育てが終わって、子供たちが自立したところで自由になる時間ができたので、長期間、家を空けられる環境ができたので、「おてつたび」を利用させて頂いている。
「おてつたび」では、希望者が会員登録した上で参加する理由や経歴などをもとにマッチングが成立する。
すきむらんどでは、栗の収穫シーズンなど期間が限られる短期アルバイトの確保が課題になっている。施設の指定管理者のブリッジザギャップでは、7月から10月にかけ「おてつたび」で7人確保する計画だ。

ブリッジザギャップ 青野雄介社長:
最初はSUPとかカヤックとか、アクティビティのサポートで来てもらいました。短期バイトは学生さんのアルバイトで成り立っていると思うんですが、小林は大学もないので、学生バイトを確保するのがほぼほぼ難しい状態なので、今回の「おてつたび」の仕組みは役立った。

すきむらんどでの「おてつたび」では時給960円。午前9時から午後4時まで5日間働いた場合、3万円程の報酬が支払われる。

宿泊先や昼食のまかないが無料で提供され、温泉も楽しめるなど、受け入れ環境も充実している。
福岡県からのおてつびと:
いただける報酬の中で、ここまでの旅費が賄えるところを選んでいる。半分は旅行、半分は仕事。出稼ぎに行く感じは全然しない。山小屋生活を楽しみながら、お仕事をさせて頂いている感じ。
ブリッジザギャップ 青野雄介社長:
単にアルバイトしてお金を稼ごうでなく、地域と触れ合いたい、新しいものを知りたいとか、モチベーションをもった方が多いというのが印象的。
人材不足に悩む地方の産業を都市部などからの旅行者が支える「おてつたび」の仕組み。仕事と報酬による結びつきを超えた交流が広がりを見せている。

福岡県からのおてつびと:
普通の観光旅行では味わえない、自分らしい自分にしかできない経験ができるのが魅力。是非たくさんの人に経験してもらいたい。
ブリッジザギャップ 青野雄介社長:
都市部とかで、こういった地域に関心のある人が増えていて、何か関わりたい、何か自分でやってみたい方もいると思うので、うまくマッチングができると、地域内だけでは難しくても光明が見えてくる。
「おてつたび」は地域を選べるほか、業種も居酒屋やホテルなど様々だ。宮崎県内では8月末時点で約50の事業者が「おてつたび先」に登録しているということだ。
(テレビ宮崎)