歴史ロマンをかきたてる古代吉備路の話題です。国の史跡に指定されている総社市の寺の跡で、全国で初めてという新たな発見があったそうです。
畿内から九州へ続く古代の山陽道沿いにある総社市の備中国分寺。8世紀中ごろの奈良時代に聖武天皇の国家事業により建てられた寺です。ここから東に約500メートルの場所で新発見がありました。
(前川裕喜記者)
「総社市の静かな林の中。周りに大きな建物はありませんが、10階建てのマンションと同じくらいの高さの建物があった可能性出てきた」
岡山市北区の岡山県古代吉備文化財センターが、調査を進めているこの場所。国分寺と同じ時代に女性僧侶の寺として全国各地で造られたうちの一つで、国の史跡に指定されている備中国分尼寺の跡です。建物は残っていませんが、南北約200メートル、東西約100メートルの規模を誇っていました。
ここで礎石や瓦などが見つかり、知られざる姿が浮かび上がったというのです。
(前川裕喜記者)
「調査が行われた場所を歩いてみる。だいたい6.3メートル。そして直角に行って6.3メートル。この辺でつくられる正方形のエリアに建物があったことが分かった。当時の正方形は高い塔だったのではないかとのこと。正方形の真ん中には高い建物を支える柱の礎の跡も見つかった」
6.3メートル四方の基礎。現存する古代の建物と比べると、平安時代に建てられた京都の醍醐寺の高さ約40メートルの五重塔とほぼ同じ大きさの基礎だったことが分かりました。ただ、何重の塔だったかは分からないということですが、全国の国分尼寺で塔の存在が確認されたのは初めて。寺ができてから200年以上のちの、10世紀の平安時代に建てられたと見られます。
当時、全国の国分尼寺が次々に廃れる中、備中では塔を建てる大きな力を持っていたと考えられています。
(岡山県古代吉備文化財センター 松尾佳子総括副参事)
「(全国的にも)残りのいい国分尼寺として有名な備中国分尼寺の調査なので、すごいものが出たという感じ」
吉備路と呼ばれるこの一帯は、古代の遺跡が数多くあります。全国で10番目の規模を誇る前方後円墳・作山古墳でもその全容に迫る発掘調査が始まったばかり。今、吉備路には熱い視線が向けられています。
(県古代吉備文化財センター 松尾佳子総括副参事)
「吉備路のエリアはたくさんの遺跡を調査している。それとあわせて、皆さんに来てもらえるよう機運が盛り上がっていけたらいい」
備中国分尼寺の跡では9月27日に現地説明会が開かれる予定です。