佐賀県警の科捜研による不正なDNA鑑定問題で、県警本部長は「第三者委員会の設置は必要ない」と県議会で答弁。県弁護士会は「組織的な欠陥は明らか」として県警や公安委員会などに説明を要求する意向を示した。
「組織的な欠陥があるのは明らか」
佐賀県警の科捜研職員がDNA鑑定記録の改ざんなど不正な作業を繰り返し、7年間で130件の不正が確認された問題で、佐賀県警の福田英之本部長は「第三者委員会の設置は必要ない」との考えを県議会で示した。

これを受け、佐賀県弁護士会は9月22日、臨時の会見を開き、出口会長は「本件は組織的欠陥によるもので第三者による客観的な調査を実施すべき」と訴えた。

佐賀県弁護士会 出口聡一郎会長:
第三者委員会の設置は必要ないということを軽々に早急に話をされているところに非常に問題があるのではないかと考えている。組織的な欠陥がある、ということは明らかだと思うが、それを改める姿勢をまったく持っていない。これは非常に問題なのではないか
「第三者による客観的な調査すべき」
県弁護士会はプロジェクトチームを立ち上げ、県警や公安委員会、検察などに対し、捜査や指導内容などの説明を求める申し入れ書を提出する予定であることを明らかにした。

また、県議会に対し第三者委員会の設置を求める請願の提出を要請する考えも示した。

7年間の130件の不正のうち16件は殺人未遂事件などで証拠として使われているが、県警は「精査した結果、公判には影響ない」としていて、検察は「処分の決定や公判の証拠として使用された事例はない」としている。
問題の本質は“司法制度への信頼”
佐賀県警は「公判に影響がなかった」と強調しているが、問題の本質はそこではない。
県弁護士会によると、当事者であるはずの弁護士や元被告人などには報道以外の情報提供もないという。

警察は、公権力を使って捜査を行ない裁判所がその証拠に基づき有罪・無罪の判断をする。証拠をそろえる過程で不正があり7年間わからなかったとなると、日本の司法制度そのものへの信頼だけでなく、「科学は正しい」という前提も揺らぎ、指紋や薬物など他の捜査にも影響を及ぼしかねない重大な事案だ。

信頼回復のためには、徹底した調査と情報開示が必要なのは言うまでもない。