続いては特集です。
宮崎のとある”厄介者”を”地域資源”へと転換する取り組みが南九州大学で行われています。
全国でも例のない挑戦を取材しました。
(環境園芸学科 須田涼介さん)
「食べやすくなっているので、いいなと思いました」
9月19日、南九州大学を訪れると、実習室で調理をする学生たちの姿が。
その手元には・・・魚。
見慣れない魚ですが、なんという魚かご存じでしょうか。
この魚の正体を、以前#Linkで取材していました。
(2024年7月16日放送・児玉アナ)
(組合長)
「これ」
(カメラマン)
「速い」
(児玉泰一郎アナウンサー)
「まだ入って1分」
「この魚がいま、大淀川で増えている魚?」
(組合長)
「そうです」
(児玉泰一郎アナウンサー)
「名前が?」
(組合長)
「コウライオヤニラミ」
「コウライオヤニラミ」は、朝鮮半島原産の肉食性の淡水魚で、体長は最大で30センチほどになります。
国内では観賞魚として流通していましたが、2017年に国内で初めて天然水域の大淀川支流で見つかりました。
人為的な放流が原因とみられ、県の調査で、宮崎県において生息域が爆発的に拡大していることが判明。
大淀川のみに生息する絶滅危惧種「オオドヨドシマジョウ」など在来魚の生態系への影響が懸念されているんです。
県は環境省に対して、国の特定外来生物に指定するよう要望しています。
(藤松舞アナウンサー)
「対策が急務となっているコウライオヤニラミの課題解決に乗り出したのが、南九州大学の学生です。テーマは『食べて駆除』です」
南九州大学で、水生生物の生態研究などに取り組む環境園芸学科の学生と管理栄養学科の学生が共同で行っているのは、全国でも例のないコウライオヤニラミを使ったレシピの開発です。
これまでコウライオヤニラミは日本人になじみがなく、トゲがあることから食用として扱われてきませんでした。
しかし、駆除のあり方を模索するなかで、命を有効活用できたらと、5月から学生たちが開発に挑んできました。
(管理栄養学科 田久保ひかりさん)
「外来魚を食べたことがなかったので、想像がつかなくて緊張しながら最初は料理しました」
学生たちは3か月ほどかけてレシピを考案。
幅広い世代に受け入れられ、誰でも作りやすいレシピになるよう試行錯誤してきました。
コウライオヤニラミのあっさりとした淡白な味わいが特徴です。
それを生かして完成したのが、こちらの4品。
コウライオヤニラミの唐揚げと大根おろしをたっぷり使った「みぞれあんかけ」に、揚げ焼きにした甘酸っぱい「南蛮漬け」、それに野菜と一緒に蒸し焼きにした「ホイル焼き」、タルタルソースがかかったサクサクのフライをはさんだ「フィッシュバーガー」です。
レシピのさらなる改良に向けて、この日は試食会が行われました。
(環境園芸学科 須田涼介さん)
「あっさりしていて、臭みを感じない。さばいているときはものすごく臭いがしたが、料理になった瞬間、臭いが全部消えて食べやすい味になっている」
(管理栄養学科 田久保ひかりさん)
「味付けも良かったし、身がボロボロになって崩れることなく、見栄えもよく完成することができたので成功かなと思う。良かったです」
「料理にすることは私たちにとってもいいことだし、魚にとっても環境にとってもいいこと」
「外来魚は抵抗があるかもしれないが、味付けによってはおいしくなるということを知ってもらってどんどん活用の場が広がればいい」