岩手県盛岡市の「映画館通り」にある老舗の映画館「盛岡ピカデリー」が、10月、56年の歴史に幕を下ろすことになりました。
また一つ、通りから映画館がなくなることに、利用客からは惜しむ声が聞かれました。
内記和人記者
「盛岡市の中心部、通称・映画館通りから、また一つの映画館がなくなることになりました」
盛岡市中央通の「盛岡ピカデリー」の運営会社・南部興行は、9月22日、この映画館を10月26日で閉館すると発表しました。
入居するビルの老朽化による大規模な改修工事に伴い、約5カ月の休業を迫られたことから、これが経営を圧迫すると判断したとしています。
発表から一夜、23日は閉館を惜しんで訪れたという客の姿も見られました。
盛岡市内から来た人
「ちょっと寂しい、 急な知らせだったので。父親に小さい頃から連れてきてもらい、ゴジラとか昔の映画を見ていた」
「（映画館の）数が減っているのは寂しい。長く続いてくれるとありがたい」
1969年に開館した盛岡ピカデリー。スクリーンは1つ、客席数176の老舗の映画館です。
2009年1月には不採算を理由に一度閉館しましたが、復活を望む多くのファンの声などをきっかけに、わずか1カ月後に営業を再開し、現在に至ります。
「盛岡ピカデリー」の映写室は、現在、映写機はデジタル化されたものが使われていますが、その両隣には56年前の開館当時から数々の名作をスクリーンに映し出してきたアナログの映写機が2台残されています。
今でも35ミリのフィルムを上映できる貴重な映写機ですが、閉館に伴い廃棄が検討されています。
この映画館で窓口係を担当する山田佳奈さんは、中学時代から客として通っていたといい、やはり閉館は寂しいと語ります。
盛岡ピカデリー窓口係 山田佳奈さん
「昔からの思い出が詰まった映画館だったのと、働き始めて色々なことを経験した場所なので、やっぱり寂しい。（閉館まで）予定がすごく詰まっているので、いつも通り 来てくれたお客さまに温かい気持ちで接客できたらと思う」
南部興行は今後、同じ系列の映画館「盛岡ルミエール」に業務を集約することにしていて、「引き続き映画ファンに喜んでいただける作品を上映していく」とコメントしています。
