秋のお彼岸でお墓参りをする人も多いと思います。そうした中、お墓への埋葬について、日本では火葬が主流ですが、最近では土葬墓地が増加しているといいます。今回、その背景を取材しました。

週末に「イット!」が取材したのは、都心から車で約2時間の埼玉・本庄市にある「本庄児玉聖地霊園」。
この霊園では、6年前から遺体を火葬せずに土に埋葬する「土葬」の受け入れを始めました。1区画30万円です。

霊園を管理する早川さんは、日本で暮らす外国人からの要望が多かったことから土葬の受け入れを始めたと話します。

本庄児玉聖地霊園・早川壮丞代表:
外国人を助けるもまた一つだよね。人生終わって次の世に旅立つのだから、気持ちよく送り出してあげればいい。

土葬の墓地を巡ってはこんな動きが。

宮城県では、外国人が増えていることや日本人にも土葬を希望する人がいるとし、村井知事が土葬墓地を整備する検討を続けてきました。
しかし先週、土葬墓地の構想に対し環境への影響を懸念する声などが寄せられ、検討を撤回したのです。

宮城県・村井嘉浩知事(先週):
熟慮したうえで、土葬墓地の検討自体を撤回することといたします。

そもそも日本では、なぜ火葬が主流となったのでしょうか。

死者をめぐる倫理を研究している上智大学大学院の佐藤啓介教授によると、「基本的には土葬の方が多いのは間違いないですし、土葬が認められている国が世界的にはほとんどです。日本も土葬が主だったんですよ。ところが明治時代になって、『土地が足りなくなる』かもしれない、『公衆衛生上病気が発生』するかもしれないという理由。一気に火葬に転換した」といいます。

日本での土葬は原則禁止されていませんが、自治体から「埋葬許可書」を得て、許可された墓地で行うことが法律で定められています。
現在、国内で土葬ができる墓地は10カ所ほどしかなく、取材した本庄市の霊園はその1つです。

最近では特に外国人を中心に宮城や新潟、沖縄からも依頼があるといいます。

本庄児玉聖地霊園・早川壮丞代表:
最初の年(2019年)が8人くらいだった。だんだん増えていって、今年だけで40人を超えている。

7年で約5倍に。
現在、169人が土葬されていますが、そのうち16人が日本人だといいます。

本庄児玉聖地霊園・早川壮丞代表:
日本人で海外の方と一緒になった方が多い。ずいぶん日本でも土に戻りたいという方がいる。日本人で2人夫婦で、そこに入りたいという(予約も)さっきあった。

土葬を希望する人が増える中で、取材した霊園では新たな動きを行っていました。

本庄児玉聖地霊園・早川壮丞代表:
ここに6人分が入るようになってます。同じ区域に家族が眠るという形。2025年9月ぐらいまでに4件くらい日本人(が予約)。

「家族での土葬」は、すでに予約済みとなっているところも多いといいます。

今後、区画を整備することで、霊園では最大3000人まで受け入れが可能になる想定だといいます。

こうした動きに、上智大学大学院・佐藤啓介教授は「少子高齢化などでお墓引き継いでくれる人がいなくなる中で葬送の多様化が起こってきた。自然葬とか樹木葬とか、そう考えると多様化の中で土葬というのが1つのオプションになること自体変なことではない」と話します。

葬送の在り方が多様化する一方、今後、そこに生じる課題にも目を向けていく必要もあると指摘しています。