プロ野球、福岡ソフトバンクホークスの上沢直之投手(31)。プロ通算1000奪三振を達成した。2012年に北海道日本ハムファイターズに入団して以来、積み上げたNPB史上159人目の記録達成だった。
プロ初奪三振は李大浩選手から
上沢投手のプロ初奪三振は、プロ3年目の2014年4月2日。当時のヤフオクドームでのホークス戦。

ホークスの4番打者、李大浩(イ・デホ)選手から奪った空振りの三振。

プロ3年目のこの年、開幕ローテーション入りし、ヤフオクドームでのホークス戦が初登板、初先発、そして初勝利だった。

当時のことを上沢投手は「憶えています。デホさんとかいたし、懐かしいですね。まだ、外野にはラッキーゾーンはなかったですしね」と話す。

この日の取材まで(9月18日)6戦負けなしと、シーズン終盤のチーム躍進に大きく貢献している上沢投手。8月には、自身3度目の2桁勝利を達成。優勝へ向け抜群の安定感を見せている。

「勝たなきゃいけないですし、そういうプレッシャーはかかりますけれど、まずはこの場所に立てて投げられているだけでも幸せかなというのが正直なところ。本当に去年は、いろいろ苦しいことが多かったので、たくさんのファンが見に来てくれる前で投げられるだけでも幸せ」

今季、チーム4人目の2桁勝利を達成するなど、キャリアハイ(12勝)の成績も見えてきた。
きっかけは1キロのメディシンボール
「去年は結構、自分のなかで投球フォームを見失った感じがあって、投げていても『あれ?』みたいな感じがあって、正直、ホークスに来てからも続いていたんですけれど…」

今シーズン、ホークスに加入。開幕から先発ローテには入るものの白星と黒星が交互に続き、シーズン序盤の安定感は今ひとつだった。

「投球動作を確認するなかで、1キロのメディシンボールをいかに壁に速く叩きつけるか、スピードを測りながら、投球フォームに似せた感じで投げていたんですけれど、一番速くスピードが出たかたちが、右足にしっかりと体重をかけるフォームだったので。試合中もそれだけ意識して投げるようになってから良くなってきました」

メディシンボールとは、筋力トレーニングやリハビリテーションなどに用いられる重さのあるボールのこと。投球フォームが固まると、投球にも変化が現れてきた。150キロ前後のストレートに、スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップ、ツーシーム、フォークと多彩な球種を自分が納得するかたちで操れるようになった。

特にフォークボールに関しては、ホークスに来て“開眼”した一面があるという。

「ホークスに来て、藤井(皓哉投手・29)とか杉山(一樹投手・27)にアドバイスしてもらいながら、本当にここ最近、自分が投げたいようなフォークを投げることができるようになってきた」

「彼らのフォークは、球界でも希少価値の高い、落差のしっかり大きいフォークなので。少しずつちょっと理想のかたちに近づいてきているかなという感覚はあります」
キャッチャー海野とのコンビで
7月半ばから上沢投手とバッテリーを組むようになった海野隆司捕手(28)とのコンビも好成績に繋がっている面があるという。

「海野は、試合前までにしっかり自分で動画を見て、相手を研究した上でミーティングしてくれるので、僕は『海野のリードの通りに投げたいな』という思いが強い」

「かなり海野とは、話し合っています。自分がブルペン入ってから『今日は、このボールがいいのでこれでいきましょう』とか『今日、あのバッターはこういう傾向があるので、こういうボールでいきましょう』みたいな話は、けっこうします」

いよいよ優勝マジックも一桁に。優勝へのこだわりは、人一倍だと話す。

「ファイターズに在籍していたとき、優勝した年は、ケガで離脱していて、ちゃんとチームに貢献して優勝できなかった。でも今、こうして優勝できるチャンスがあるところで、しっかりそのチームのなかに入れているので、僕は、本当に誰よりも優勝したいかなと思っています」

もしかしたら優勝のXデーの日にマウンドに上がることもあるかもしれない上沢投手。「そのときはしっかり投げたい」と力強く締めくくった。
(テレビ西日本)