名古屋市守山区で創業60年を迎える町中華「蓬莱(ほうらい)」は、変わらぬ味と人情で幅広い世代に親しまれています。2代目店主が受け継ぐチャーハンや、季節を問わず楽しめる冷やし中華は、今も多くの人を魅了しています。

「蓬莱(ほうらい)」の冷やし中華
「蓬莱(ほうらい)」の冷やし中華
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■一年中味わえる名物「冷やし中華」

名古屋市守山区の中華料理店「蓬莱」。

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中華の名店で修業した2代目店主の三上洋輝(ひろき)さんが腕を振るう名店です。

常連客:
「ここの料理は野菜が多いからいい」

別の常連客:
「味がやさしい」

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人気メニューは、幅広い世代に愛される「チャーハン」(850円)です。味の決め手は豚のスジ肉を煮て柔らかくし、細かく刻んだチャーシュー。試行錯誤の末、生み出した秘伝の味は世代を超えて愛されています。

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そして、暑い日にさっぱりと食べたいのは「冷やし中華」(990円)です。

客:
「年がら年中食べられる」

別の客:
「ここの冷やし中華はやはりおいしい」

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「蓬莱」では、通年で冷やし中華を提供しています。

常連客:
「子供用に味を薄くしてくれたり、やさしい味で食べやすい」

おいしさの秘密は丁寧な仕事。キュウリやハムなどの具材は注文が入ってから細かく切っています。

洋輝さんの妻・智恵美さん:
「キュウリも切り置きすると、かさついちゃうので」

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茹でた麺を冷たい水で洗ってぬめりを取り除いたところで、氷でしめてコシを出します。

自家製のタレは、冷やし中華はもちろん酢豚など他の料理にも使う万能タレです。

一年中冷やし中華を提供するようになったのにはあるきっかけがありました。

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2代目店主・洋輝さん:
「冷やし中華しか食べない子が冬にやってきたので作ったのが始まり」

10年以上愛されてきた名物メニューです。

■40年にわたり店を支え続けた母の存在

店の味を洋輝さんと一緒に守り続けてきたのが、洋輝さんの母・イツ子さん(86)です。イツ子さんは、昭和40年に名古屋市北区で夫と6坪の小さな店を始めました。その後、中華料理の名店で修業をしていた息子・洋輝さんが妻の智恵美さんと一緒に後を継ぎました。

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それから40年近く店を手伝ってきたイツ子さんですが、2025年の4月に店先で転んで大腿骨を骨折。手術をして今は、何とか歩けるまでに回復したばかりです。

早朝の厨房には、ケガから復帰したばかりのイツ子さんの姿がありました。小皿の上に米、塩、水をのせて厨房やカウンター、客席などにお供えをします。家内安全や商売繁盛を祈願。店を洋輝さんに譲ってもこれだけは欠かせない日課です。

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ここからは洋輝さんたちの仕事。両親から受け継ぎ大切に守ってきた名物メニューの一つが、初代が考えた「オムライス」(990円)です。

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洋輝さん:
「ねちょっとじゃなくて、パラっとするようなオムライス」

■変わらぬ味と人情で地域をつなぐ店

週末の夜は、常連客たちの憩いの場となります。

常連客:
「知り合いがいっぱい来る」

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まだまだ暑い日に冷やし中華は外せません。一方で、暑い日にあえてアツアツの「カレーラーメン」(990円)を注文する人も。豚肉と玉ねぎを煮込んだ鍋にカレー粉を投入。溶き卵を流し入れとろみをつけたら出来上がり。

客:
「カレーがさっぱりしておいしい。カレーカレーしていない」

この日は、洋輝さんの同級生も来店。洋輝さんも厨房から出てきて卒業アルバムを見ながらのプチ同窓会です。

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洋輝さん:
「(アルバムを指しながら)嫁さんはここにいます」

洋輝さんと智恵美さんは中学時代の同級生ですが、当時はお互いのことを知らなかったといいます。同級生がお店で誕生日会を開いたことがきっかけで交際が始まり、結婚することになりました。今ではクラス会も開かれるほど、店が同級生のよりどころとなっています。

洋輝さん:
「仲間っていうか財産ですね。今、歳をとってくると余計にいいものですね」

店を守ってきた母と後を継いだ息子夫婦、そしてその味と人柄を愛する常連たち。変わらぬ味と人情が交わる「蓬莱」は、今日も地域の人々を温かく迎えています。

東海テレビ
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