須坂市(長野県)のふるさと納税返礼品の産地偽装問題です。業者と市職員の関係性が問題の背景にあるなどと指摘した第三者委員会の報告書について、市は「真摯に受け止める」として、再発防止策などを発表しました。生産者も「やり直すしかない」としています。

須坂市・三木正夫市長:
「貴重な報告を真摯に受け止め、反省、検証し教訓を生かし、返礼品提供事業者の選定や管理体制の見直しと再発防止策を講じ、信頼を回復し、新たなふるさと納税の事業スキームを構築する」

須坂市の三木正夫市長は9月17日午後、第三者委員会が8月まとめた返礼品の産地偽装問題をめぐる報告書について記者会見しました。

この問題は、返礼品を取り扱う和歌山県の業者が「山形県産」などが混在したシャインマスカットを「須坂市産」として市に販売していたものです。

市は、業者からの報告で2024年12月に混在を把握しましたが、農水省が調査に入っていたことを理由に、実地調査を行わず、3カ月ほど寄付の受け付けを続けていました。

第三者委員会は8月、報告書をまとめ、「混在」の直接的な原因は業者にあるとした上で、返礼品の状況を調査・確認する体制がなかった市側にもリスク管理の意識の欠如があったと指摘。

市の担当部署の一部職員と業者の社長が、定期的に会食するなどしていた関係性も問題の背景にあるとしました。

9月17日の会見で市は、報告書の内容を「真摯に受け止める」とした上で、検証結果や再発防止策なども発表しました。

問題の教訓として、「担当職員への過度な業務集中」「法令等の認識不足」「事業者への過度な信頼」などを挙げました。

再発防止に向けては、「担当する職員を増やして管理運営体制を強化する」「職員倫理規程を制定し、制度に関する研修を行う」「事業者の登録時の審査の厳格化」などに取り組むとしました。

三木市長:
「きちっと事実関係を認定してもらったので、その認定に基づいて、これからしっかり仕事をしていく。反省、検証し、今後この教訓を生かして、信頼回復と持続的な発展に向けて取り組むこと大事だと思う」

一連の問題で、市はふるさと納税の対象から除外され、2年間、寄付の受け付けが出来ない状態です。市は、再発防止策を徹底し、2027年秋をめどに再開したいとしています。

生産者は―。

信州うちやま農園・内山俊政さん:
「あの瞬間、あの数カ月間だけは結構きつかった、先が見えないと」

須坂市の農園を営む内山俊政さん。シャインマスカットやモモなどを取り扱っていて、全体の半分以上を市のふるさと納税の返礼品に出していました。

こちらは、問題発覚を受け、先行受付分の返礼品を発送する際に市から同封するよう求められた「詫び状」です。市の落ち度を認める文言が入っていなかったことに不満を感じています。

信州うちやま農園・内山俊政さん:
「あくまで業者がこういうことをしてこうなりました、寄付をくれた皆さま、すいませんってスタンスになっているので、それは気に入らない」

第三者委員会の報告書と、市の再発防止策については、次のように受け止めています。

信州うちやま農園・内山俊政さん:
「われわれ見ていても(市と業者は)ズブズブだなって勘づいていましたけど、結局マンパワーで全員の事業者を回れっていうのは無理ですよね。書面1枚出して『これがルールだから読んどいてね』で終わりというのも違う。(再発防止策は)よくやっていると思います。あれ以上やりようがない」

内山さんは、新たな販路を探し、出荷先にめどをつけました。今後、農家の組合をつくり、よりよい制度となるよう市と意見交換をしていけたらとしています。

信州うちやま農園・内山俊政さん:
「組合ができれば代表者を毎年変えるなりして、こっちはこっちの意見、向こうは向こうの意見で須坂市のふるさと納税をどういう方向に行きたいのという道をつくっていくのがいい。今が一番いいと思ってやり直すしかない」

長野放送
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