生活保護費の引き下げは違法だとして、富山市の受給者らが国と市に減額処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審で、名古屋高等裁判所金沢支部は、国の対応が違法だとし、減額処分を取り消しを命じました。
 
訴えを起こしているのは富山市の生活保護受給者とその遺族の5人で、国が2013年から2015年までの3年間、物価の下落などを理由に生活保護費の基準額を最大で10%、平均で6.5%引き下げたことに対し、減額処分の取り消しと賠償を求めています。
    
一審で富山地方裁判所は、「厚生労働大臣の判断は裁量権を逸脱している」とし、富山市に減額処分を取り消すよう命じた一方、賠償請求については退け、双方が控訴していました。
  
17日開かれた控訴審の判決で、名古屋高等裁判所金沢支部の大野和明裁判長は、「物価変動率のみを指標としてデフレ調整を行ったのは、厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱、乱用しており、違法」として、一審と同様、減額処分の取り消しを命じました。一方、賠償請求は退けられました。
    
同様の訴訟は、全国29の都道府県で行われ、今年6月、最高裁判所が生活保護費の引き下げを違法とする統一判断を示し、これに影響したとみられます。

*原告団の男性
「今の日本社会の中のいろんな声が合わさりあいながら、最高裁の判決、今回の判決に結びついた感激している」
「ついにこの勝利に到達した、歴史的な勝利だと思う」

*富山弁護団 西山貞義事務局長
「再発防止に向けてこれからが本番」

判決を受け、富山市は「上告するか、国と協議する」としています。

富山テレビ
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