5年前の3倍超え 地政学リスクやインフレ警戒で金需要急増
東京株式市場では16日、日経平均株価が一時史上最高値の4万5000円を付けた。同様に高騰を続けているのが金の価格である。富山県内の貴金属店でも連日、金製品に関する問い合わせや査定依頼が増加している。

砺波市の貴金属買取専門店では、金製品に関する問い合わせが相次いでいる。この日、出張査定で買い取った純金のネックレスと18金のピアス3点の価格は14万3千円になった。


「2倍3倍(金の値段が)変わってきている。背景として新型コロナウイルスのパンデミックから(高騰が)始まっている。ウクライナの情勢もそうだが、情勢が悪化すると資産保有に走る方が多いので金という資産を投資家や色んな方が注目することで高騰して持ち込みも増える」と、ザ・ゴールドの芦澤豊エリアマネージャーは説明する。
金価格は1グラム当たり5年前の6千円台から3倍以上に

金の価格は5年前、1グラム当たり6千円台で推移していたが、現在はその3倍以上となっている。今月に入ってからも過去最高額を更新し続けている状況だ。
この金価格高騰の背景には、地政学的な緊張やインフレへの警戒感があり、実物資産である金の需要を押し上げていると言われている。特にアメリカの金利引き下げ観測が強まり、日経平均が最高値を更新するのと歩調を合わせるように、金もこの1カ月間で10%も上昇した。
仏壇店にも影響 修繕需要が増加


この金価格高騰で頭を痛めているのが仏壇店である。仏壇に使われる金箔は約1000枚にも及び、金の価格上昇はそのまま原材料費に響く。

「(1グラム)1万5000円だったものが、今1万9000円くらいまで上がっている。2万円まで上がると思う。上がることを想定してあらかじめ金箔はまとめて買っている」と大越仏壇の大越則夫社長は語る。
同店では金の高騰を受けて今年4月に商品の値上げに踏み切った。しかし、金の値段がさらに上がるのではないかという懸念から、金仏壇の修繕を希望する顧客が増えているという。

「これから(金の値段が)上がることもみなさん分かっているので、お仏壇を修繕しておく。今の価格で金箔の修理を頼みたいと。今の価格で金箔を準備してほしいと(お客様から)言われる」と大越社長は話す。

仏壇には金箔が扉や屋根などに使用されているが、大越仏壇では金の量を少なくした新しいデザインの仏壇など、商品の選択の幅を広げることで金価格高騰に対応していく方針だ。