県内に甚大な被害をもたらした記録的な大雨から1カ月。被災地の一つ、八代市の小学校では12日、児童たちが水害の経験を元に『防災』について学びました。
土石流が発生した八代市の被災地から中継です。
【寺田 菜々海 アナウンサー】
はい、奥に見えるのが先月の大雨で土砂崩れが発生した竜峰山です。
ここ八代市の龍峯校区では、幸い人的被害はありませんでしたが、土石流によって多くの住宅が浸水などの被害を受けました。
この1カ月、まずは道路と水路の土砂撤去が優先的に行われてきたということで現在は道は通れるようになり水路にも土砂はありませんが住宅の方に目をやると…
手つかずの状態となっています。
さて、私が今いるのは八代市の岡町谷川という地区です。
尾谷キャスターが、先日、防災システム研究所の山村所長と取材した興善寺町がこのあたり。
そこから直線距離で300メートルほどの場所です。
そして、きょうはここ龍峯小学校で、全校児童を対象に防災教育が行われました。
「経験したことのないような大雨が降る」と予想されたとき、どう行動すればよいか、児童たちが考えました。
全校児童55人の八代市立龍峯小学校です。
先月の大雨で学校は浸水被害を受け、今月1日に1週間遅れて2学期がスタートしました。
きょう午前に約3時間かけて行われた『防災教育』は八代市教育委員会が市内の全ての小学校で順番に行っているもので、八代市在住で気象予報士で防災士の早田 蛍さんなどが講師を務めました。
児童たちは班ごとに分かれて意見を出し合い、「大雨による災害の恐れがあるときにどんな行動をするか」。
時間ごとの〈防災行動計画〉いわゆる『マイタイムライン』を作成しました。
【児童発表】
「警戒レベル1の時には避難グッズの点検確認をします。警戒レベル2の時には情報の確認をします。警戒レベル3の時にはおじいちゃんとおばあちゃんの避難を始めます。警戒レベル4のときには家族全員の避難を始めます」
そして、国交省の八代河川国道事務所が用意した『浸水ドア体験』も行い、足元程度の水位の浸水でもドアを開けることが困難なことを実感し、早めの避難の大切さを学んでいました。
【児童インタビュー】
「水が玄関の所まで来たら
あんなに押さないといけないんだなと思った」
「これから大雨が降ったときに備えて日常的に道を確認したり、ニュースを詳しく聞いて理解したりして、避難する道のりをお父さんとお母さんと確認してそれを生かしていきたい」
9月に実施することは元々の年間計画で決まっていたが水害を経験したばかりだったので子どもたちにとってはより〈リアル〉な学びになったようです。
さてそんな龍峯小のすぐ近くにあるのがここ岡町谷川地区です。
土砂が流れ込んだこちらのお宅の野口さんに12日午後、お話を伺いました。
みかん農家の野口直廣さん。
発災当初は「途方に暮れた」といいますが、「ボランティアの人たちに救われて乗り越えた一カ月だった」と話します。
【野口直廣さん・みつ代さん】
「どうしていいかわからなかった。」
「最初はショックだった。」
「何から手を付けていいか見当つかなかった」
(ボランティアに)「感謝ですね」
「ボランティアさんのおかげです」
八代市ボランティアセンターによりますと、こちらの地域は急斜面で土砂の量がとても多いので、一般のボランティアではなく、全国から駆け付けた重機を持ったボランティア団体や行政が依頼した業者のみなさんがこの一カ月は力を尽くしたといいます。
そしてこれからはボランティアセンターで募った一般の方も派遣しながら、宅地の土砂を取り除いたり、住宅の中の復旧したり、というフェーズに移っていくということです。
県内では八代市を含め、ご覧の八つの市と町で災害ボランティアセンターを開設して
ボランティアを募集しています。
(熊本市 八代市 玉名市 上天草市玉東町 甲佐町 美里町 氷川町)
復旧復興に向けて力を合わせて歩みを進めている八代市の岡町谷川地区から中継でお伝えしました。
8月の記録的な大雨による被害のまとめです。
熊本県内では男女4人の死亡が確認されたほか、男性1人の安否が現在も分かっていません。
熊本県によりますと、住宅の被害は全壊、半壊、一部損壊、床上・床下浸水を含め計9015棟となっています。
また熊本県は、下益城郡美里町に建設中の仮設住宅について、新たに1棟3戸を追加整備すると発表しました。
これで美里町内には計3棟9戸が整備されることになります。