福岡県は2025年10月、14年ぶりに見直した被害想定を発表した。それによると福岡市の直下を走る警固断層帯や北九州市を通る福智山断層帯など、県内7つの活断層が震源となった場合には、いずれも最大震度7の揺れが予想されているという。
20年前に揺れたのは“北西部”
福岡を襲った大きな地震といえば2005年3月に発生した福岡県西方沖地震があげられる。最大震度6弱を観測し、133棟の家屋が全壊。

死者1人、負傷者1087人。福岡市を中心に大きな被害が出た。

この西方沖地震の震源域となったのが、警固断層帯だ。20年前に揺れたのは玄界灘に位置する“北西部”。167万人が暮らす福岡市の真下を通る“南東部”(博多湾から福岡市中心部を経て筑紫野市に至る活断層。長さ約27km)では、まだ地震は起きていない。

福岡に暮らす人も「警固断層はすごく気になる。自分の住んでいる所が、警固断層の近くかどうかは調べた」と関心を寄せる。

こうしたなか、福岡県は警固断層帯などに関する新たな調査結果を発表。2011年度の前回調査から14年ぶりに想定される被害を更新した。
発生確率“Sクラス” 警固断層帯
県の担当者は「人的被害の死者数や負傷者数。今までは建物全壊による場合を想定していた。今回は、建物半壊やブロック塀、自販機の転倒、家具の転落などのよる死傷者数も算出し計上した」と説明する。

調査の対象となったのは、県内7つの活断層と南海トラフによる地震。このうち、福岡市の中心部を通り、西方沖地震の震源になった警固断層帯は、国が示す分類では最も危険度が高いSランク。今後30年以内の発生確率が3%を超える最も危険な断層に分類された警固断層。最大震度7の揺れが予測されている。

被害想定は、14年前の前回調査から死者数が600人増えて1800人(※関連死800人を加えると2600人)に。避難者数は約8倍の31万9000人と大幅に増加した。

また北九州市を通る福智山断層帯(北九州市若松区から田川市にかけ、約28kmに渡り北北西〜南南東方向に延びる活断層)では、関連死を含む死者数が600人、負傷者が4800人、建物被害は5万1000棟に上り、7万9000人の避難者が予測されている。

人数が大きく変化した理由について県の担当者は「警固断層は、北西部と南東部の区間がある。今回は、2区間が連動して地震が起きたと想定した。前回調査と比べてより広範囲の被害が想定されている」と話す。
警固断層帯とほぼ平行に走る宇美断層帯
県内7つの主な活断層のうち福岡市に近く、警固断層帯とほぼ平行に走る宇美断層帯(須恵町から筑紫野まで北北西から南南東方向に延び約13km)は、30年以内の発生確率が“ほぼ0%”だが、最大震度は7を想定している。

専門家の意見を基に、宇美断層南部の春日市付近を震源とした被害を算出。調査の結果、想定する死者数は、警固断層帯より多い1900人(※関連死800人を加えると2700人に)、避難者は34万人を超えるとの予測だった。

福岡県防災企画課の前原美穂企画監は「宇美断層は、断層面が福岡地域に広く位置していることが分かっており、最大震度7と想定された地点が福岡地域に広がっている。このため主に福岡地域を中心に大きな被害が発生する予測となっている」と話す。

今回、公表された各地の震度予測など最新情報は、県の防災アプリで確認することでき、県は、地震対策に広く活用して欲しいとしている。
(テレビ西日本)
