「デートには“認証”が必要です」
そんな“恋の呪文”を信じてしまったのは、仙台市に住む60代の公務員男性だった。
インスタグラムで知り合った女性に「会いたい」と願ったその先に待っていたのは、「うその恋」と1770万円の被害だった。
恋の始まりはインスタから
警察によると、男性は5月24日、インスタグラムを通じて「女」を名乗る人物と接触。LINEでやりとりを交わすようになると、相手からこんな要求が届いた。
「あなたの正体が分からないので、身分を明かしてほしい」
「デートするには“認証”が必要です」
その「認証」のためと称して、外部のウェブサイトへの登録を求められた男性は、指示された通りにうそのアプリをインストール。さらに、別の何者かの指示を受けながら、なりすましサイトへのアカウント登録も済ませてしまった。
「500万円」で目が覚めた
登録後、相手から送られてきたのは、さらなる金銭要求。
「あなたのアカウントが破損しています」
「修復費を払えば、後日返金されます」
そう言われた男性は、数千円~200万円超の振込を10回以上繰り返し、合計で約1770万円を指定口座に送金してしまった。
「返金してほしい」と求めると、今度はLINEでやりとりしていた女から、こう告げられた。
「出金手数料として500万円が必要です」
ここに来てようやく男性は不審に思い、警察に相談。「恋の相手」は影も形もない詐欺グループの仕業だった。
「相手を信用してしまった」
警察は、SNSでの出会いを悪用したロマンス詐欺の手口とみて、特殊詐欺事件として捜査を進めている。
男性は警察に対し、「相手を信用してしまった」と話しているという。