三宅島が大きな噴煙を噴き上げた2000年8月29日。

島民は、無念の思いで島を離れ、本土での生活を余儀なくされました。
3ヵ月…半年と経っても、全島避難が解除される見通しは立ちません。

 
 
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そんな生活が、1年も続いた頃、両陛下がお訪ねになったのは、島民が避難していた静岡県下田市。
この時、信じ難い体験をしたのが、近所のアパートで、避難生活を送っていた池田さん。
訪ねてみると、まるで昨日のことのように衝撃の体験を語ってくれました。
 

 
 

美智子さまに娘が発した思いがけぬ言葉

 
 

あの日、池田さんは、娘と二人、歩み寄られる両陛下を見つめていました。

池田さん:  丁寧に目線をきちんと合わせて、『応援しているよ』と、心の中で言ってくださっているんだなっていう

 
 

そして、美智子さまが、目の前で立ち止まられた時に、期せずして娘の実央ちゃんが発したひと言…

美智子さま:元気でいらしてくださいね
娘・実央ちゃん:近いから、おばあちゃん、おうちに遊びにきてね〜!

 

 
 

池田さん:娘が『家に遊びに来てねー』って感じで(美智子さまに)軽く言っちゃったわけですね。

それは、当時小学2年生だった実央ちゃんの思いがけぬ言葉でした。 とは言え…
 

 
 

池田さん:大体、来ないと思うじゃないですか。だって一般の家には、なかなか行かないじゃないですか
 

翌朝 家の前に…

ところが、翌朝の7時…
 
「弘子さん早く起きて!外が大変なことになっているわよ!早く早く、実央ちゃんも連れて来て!」
 慌てたご近所さんの声に起こされた池田さんが、眠る実央ちゃんを抱え、玄関を出てみると…

そこにいたのは、陛下と美智子さま。

なんとお二人は、実央ちゃんとの約束を守り本当にアパートまで来てくれたのです。
              

 
 

しかし、当の本人は夢の中…すると、美智子さまは…

美智子さま:ごめんなさいね、起こすつもりはなかったのよ

起きている母の方が、まるで、夢を見ているかのような出来事でした。
 

「三宅島にもどれるようになったら、あそびにきてね」

後に、本当に両陛下が来てくれたと聞いた実央ちゃんは、お礼の手紙を書きました。
 
「天のうさま こうごうさまへ…
あいにきてくれてありがとうございます
 
ほんとうは、三宅島にすんでいるんですよ。
そして、おやまがふんかしたから
下田にひなんしてきたんだ。

三宅島にもどれるようになったら、あそびにきてね」
 

 
 

けれど、これで物語は終わりませんでした。

それから5年たった2006年3月7日、避難命令が解除となった三宅島の漁港。
復興状況を確かめるべく、両陛下が島を訪ねられました。

『漁の調子はどうか?』『暮らしに不都合はないか?』と熱心に話を聞かれる両陛下の後ろには、その姿を、じっと見つめる実央ちゃんの姿がありました。
 

 
 

そして、ついに、あの約束が果たされます。

 
 

「三宅島にも、あそびにきてね」

 
 

それは、あの日、夢の中だった実央ちゃんと両陛下の夢のような再会でした。
 

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プライムオンライン編集部
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