日々の暑さにうんざりする2025年の夏。
しかし、その猛暑に耐え抜いた今年のピオーネは「例年以上に甘い」と評判だ。広島県内の市場からスーパー、そして産地のぶどう畑まで“旬の味覚”を追跡した。

朝競り熱気「糖度が高くておいしい」

午前6時、広島中央卸売市場に響く威勢のいい掛け声。競り落とされていくのは黒紫色に輝く大粒の「ピオーネ」である。まさに今、露地モノの最盛期を迎えている。

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広印広島青果の富久研司課長は「夏の高温でどの産地も生育が早いが8月下旬〜9月中旬がピーク。生産者が水の管理をしっかり行い、手をかけて良いものを作ってくれた。糖度が高くておいしい」と評価する。

市場で競り落とされる三次ピオーネ「黒い真珠」
市場で競り落とされる三次ピオーネ「黒い真珠」

ピオーネは巨峰を改良した品種で、より果粒が大きく上品な甘さが特徴だ。中でも広島県北部・三次市で栽培される三次ピオーネの「黒い真珠」は最高級のブランドぶどう。贈答用としても人気が高い。

スーパーにずらり、手が届く価格で

広島市安佐北区のスーパー「マルナカ可部店」では、入口すぐに三次ピオーネの特設コーナーを設置。一房1000円前後と手に取りやすい価格が並び、訪れる客の目を引いていた。

「糖度20.2度」を表示する特設コーナーのポップ
「糖度20.2度」を表示する特設コーナーのポップ

店長の土屋雄一さんは「今年はすごくモノが良く、糖度20度以上も。市場が安定している間は買い求めやすい価格で出しています」と話す。

来店客も「これ見て、糖度20度といったらすごく甘いよ」「今年、ピオーネを食べるのは4回目」と笑顔を見せた。

寒暖差が生んだ“最高の出来”

広島県東部・神石高原町もピオーネの産地だ。
9月8日、生産者約80人が集まり、本格出荷の前に出来栄えを確認する恒例の「ぶどう出発式」が開かれた。今年は例年より1週間早い開催となった。

出荷がピークを迎える神石高原町のピオーネ
出荷がピークを迎える神石高原町のピオーネ

標高530メートルに位置する神石高原町の農園では約2万5000房ものピオーネを栽培。ずっしりと重たい房がたわわに実っている。
この農園の管理者で神石高原ぶどう部会の前原孝史部会長は「7月、8月の暑い時期は昼に34℃ぐらいまで上がっても、明け方は21~22℃まで下がる。その寒暖差と肥えた土がおいしいぶどうを作った」と語る。そして「色・味・玉張り、最高です!」と書いたフリップを掲げた。

神石高原ぶどう部会・前原孝史部会長と辰巳キャスター
神石高原ぶどう部会・前原孝史部会長と辰巳キャスター

“最高の出来”と胸を張るピオーネをテレビ新広島の辰巳キャスターが試食。
「房の上の方が甘いというので上の粒をいただきます。お~、これは甘い!ジューシーです」

生産者から消費者まで声をそろえて「今年は特に甘い!」と絶賛するピオーネ。まさに今が食べ頃の旬の味覚である。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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