殺虫剤やトラップのワンポイント
コバエの侵入を完全に防ぐのは無理だとしても、侵入してくるコバエの数を減らしたり、家に入ってきたコバエを繁殖する前に駆除することは可能です。さまざまな種類のコバエ用の殺虫剤や捕獲器が市販されているので、それらの力を借りればいいのです。いくつか紹介しておきましょう。
【網戸用殺虫スプレー】
網戸をすり抜けて室内に入ってくるコバエを減らすには「網戸用殺虫スプレー」がおすすめです。これは網戸に噴霧するタイプの殺虫剤で、あらかじめ網戸に噴霧しておけばコバエが集まりにくくなります。また、網戸の表面に残った殺虫成分にコバエが一定時間以上触れると、やがて死んでしまいます。
【窓ガラス用殺虫スプレー】
網戸用殺虫スプレーと同様の使用方法です。屋外側で使用する場合、予め窓ガラスに吹き付けておけば、寄ってきたコバエを忌避させ、一定時間薬剤面に触れるとやがて死にます。窓やドアの隙間周りに吹き付けておくと、侵入防止が期待できます。では、既に屋内に侵入している場合はどのように使用すればいいでしょうか。

コバエによっては光に向かって飛ぶ習性があるため、部屋の中が暗くて、屋外から光が入る状態になると、窓ガラスに集まってきます。ちょうど夜明けの状況がそれです。夜、室内側から窓ガラスにあらかじめ吹き付けておくと、朝には窓の下にコバエの死骸が落ちています。室内でスプレーをする場合は、吸い込まないようにマスクを着用し、スプレーが終わったら換気しましょう。
【コバエ用捕獲器】

据え置きタイプの「コバエ用捕獲器」も、室内の発生源が特定できていなかったり、外部に発生源があって、度々室内に侵入する場合に有効です。ただし、ノミバエとショウジョウバエは捕れるものの、蚊の仲間のチョウバエやクロバネキノコバエには効果が期待できません。
【ワンプッシュ式殺虫剤】
少量の薬剤を部屋に一吹きするだけで、蚊やハエがいなくなる「ワンプッシュ式殺虫剤」は多くのコバエに効くだけでなく、長時間効果が持続するため利用価値が高いのですが、使い方にコツがあります。スプレーを噴射する際は、部屋の窓やドアを閉めて換気扇を停止させて密閉空間にします。噴射後約30分間密閉状態を保つと部屋中に薬剤が広がり、部屋全体に付着して、コバエがどこに止まっても効果が得られます。
ほかにも、紫外線でコバエを誘引する電撃系殺虫器、粘着剤が付いたリボン状のハエ取り紙など、多種多様な殺虫剤やトラップが市販されているので、用途に合ったものを選んでください。
以上、部屋に入り込んだコバエを早めに駆除するための方法をいくつかご紹介しましたが、これらはあくまでコバエが侵入した後の対処法です。結局のところ、本気で外部からのコバエの侵入・発生を食い止めようと思うなら、「家の中にコバエが好みそうな環境を作らないこと」が最も肝心だと思っておいてください。
「生ゴミは早めに処分する」「食べ残し、飲み残しを放置しない」「水回りを定期的に清掃する」といったことを常に心がけていれば、殺虫剤や特別な装置を使わずとも、コバエの侵入や発生は抑えられるはずです。
足立雅也(あだち・まさや)
害虫駆除や鳥獣対策を手掛ける「808シティ」代表取締役社長。
構成=中村宏覚