JR広島駅の駅ビル2階に路面電車が乗り入れる「駅前大橋ルート」が開業して1カ月。利用者数は大幅に増え、記念グッズも予想を上回る売れ行きとなった。
新たなにぎわいを生んだ駅周辺は広島の街全体を大きく変えようとしている。
「走行自体が楽しい」新ルートの魅力
開業1カ月を迎えた広島電鉄の駅前大橋ルート。

東広島市から訪れた家族連れは「初めてです。ずっと子どもが乗りたがっていたので。電車がいっぱい並んでいて喜んでいます」と話す。

広島市民からも「駅前大橋を上っていくところと下りるところ、あそこ楽しいですよね」と、走行そのものを楽しむ声が聞かれた。
広島電鉄によると、開業した8月3日から26日までの1日平均利用者数は、被爆80年やインターハイの開催も重なり、前年同時期より約9000人増加したという。
記念グッズの売り上げは予想以上
駅構内の交通案内所で販売されている「開業記念グッズ」。社員一丸となって企画され、クリアファイルやステッカーは1週間ほどで完売した。

広島電鉄・電車企画課の伊藤聡一郎さんは「予想以上に売り上げが好調。すごい勢いで完売してしまった」と驚きを隠さない。

第2弾として8月28日から販売しているグッズのうち、廃止となった「猿猴橋町」の行灯(あんどん)をデザインした電停キーホルダーも早々に売り切れた。
「これまでは広電ファンの方が主に購入していたが、今回はそれ以外の方にも幅広く買っていただいている」と伊藤さん。開業をきっかけに、路面電車はより身近な存在になっている。
さらに進化する駅南口エリア
駅前大橋ルート開業後のにぎわいについて、松井一実市長は「新たな“東の核”のにぎわいをどう西の方(紙屋町・八丁堀地区)や広域都市圏全域へ波及させるかが課題」と語る。

現在、広島駅前の旧電停跡地では重機による取り壊し作業が進み、将来的にはマイカーエリアへと整備される予定だ。さらに的場町電停付近では、2026年春開業予定の「循環ルート」に向けた工事も着々と進んでいる。
広島駅南口周辺の進化は今後も続きそうだ。
(テレビ新広島)