ちなみにFスケールは6まであり、日本ではF4以上の竜巻や突風は観測されていない。

これまでF3を記録した突風被害には、2006年11月7日に北海道佐呂間町で発生した竜巻がある。この竜巻によって、工場のプレハブ小屋にいた9人の犠牲者を出し、31人が重軽傷を負っている。

建物の被害も、100棟以上に及んだ。2020年7月に埼玉県三郷市で発生した突風も竜巻と確認され、人的被害はなかったものの、住宅の屋根などに被害が発生した。

F3の竜巻は5年に1回程度の頻度で日本のどこかで発生している。

完全に解明されていない竜巻

竜巻の発生メカニズムは非常に複雑で、現在でも完全には解明されていない。だが、台風と同じように、大気の渦が引き起こす強風であり、キーワードはいずれも上昇気流である。

地面が温められると上昇気流が発達し、積乱雲が発生する。上空で水蒸気が水滴になると、周囲へ熱を放出し、積乱雲の周囲にある空気を温める。

この結果、温められた周りの空気ものぼりはじめ、上昇気流が強くなる。

竜巻が発生する状況とそのメカニズム(『災害列島の正体』(扶桑社)から抜粋)
竜巻が発生する状況とそのメカニズム(『災害列島の正体』(扶桑社)から抜粋)

こうした状況で暖かく湿った空気が流入してくると、上昇気流はさらに強くなる。このとき、気流は地球の自転を受けて激しく回転しはじめ、竜巻が発生することがある。

気流の回転が螺旋状に渦を巻きながら、短時間に巨大な竜巻へと成長していくのである。