生息域が広がる理由

ワモンゴキブリは高温多湿の環境を好むため、もともとは九州・沖縄から関西までの西日本エリアを中心に生息していました。しかし近年は東日本の都心部にも生息域を広げていて、なかでも飲食店が多く集まったビルや繁華街での被害が増えています。

これには地球温暖化による気温上昇も少なからず影響していると思われますが、もっと大きな要因として考えられるのが、「温水食器洗い機」の普及です。

食洗機(画像はイメージ)
食洗機(画像はイメージ)

ビルの地下には通常、流し台や洗濯機から出る生活排水や水洗トイレの汚水を一時的に溜めておくコンクリート製の貯水槽(雑排水槽・汚水槽)が設置されています。近年、温水食器洗い機を導入する飲食店舗が増えたことで、この水槽に四六時中、大量の温水が流れ込むことになり、ワモンゴキブリが好む高温多湿の環境が一年中維持されることとなったのです。

貯水槽から天井裏へ…

では、地下の貯水槽で繁殖したワモンゴキブリは、どうやって飲食店の店内に入り込むのでしょう?

古いビルの場合、貯水槽のコンクリートにひび割れが生じていることもあり、ゴキブリたちはそうした割れ目に入り込み、壁のなかを通って店舗の天井裏に移動します。そして天井のダウンライトのランプの根元の隙間をくぐり抜けて、店舗内に侵入してくるのです。

こうなると飲食店にとっては食事中のお客さんの頭の上に突如ゴキブリが現れるのですから一大事です。

ムーディーなディナータイムにワモンゴキブリが降ってきたら…(画像はイメージ)
ムーディーなディナータイムにワモンゴキブリが降ってきたら…(画像はイメージ)

そんな最悪の事態を避けるため、お店の人はワモンゴキブリが出入りしているダウンライトの隙間に殺虫剤スプレーを噴霧してしまうかもしれませんが、これは絶対にやらないでください。

なぜなら殺虫剤を噴射すると、集団で潜んでいたワモンゴキブリたちが刺激をうけて一斉に動き出し、逃れようと次から次へと隙間から出てくるので、天井からたくさんのゴキブリが降ってくることになるからです。