京都大学が老朽化した「吉田寮」の寮生に明け渡しを求めた裁判で、大学側が耐震工事を行う代わりに、寮生が一時的に退居することで和解が成立しました。

きょう=25日、京都大学「吉田寮」の寮生たちが会見を開きました。

【京都大学・吉田寮生】「裁判を終わらせることができたのは、和解についてポジティブと言ってもいい要素」

寮の明け渡しをめぐる大学側との裁判で、大学側が速やかに耐震工事を行う代わりに、寮生が一時的に退居することで和解が成立したと明らかにしました。

■築112年…日本最古の学生寮「吉田寮」

吉田寮の「現棟」は築112年と、”日本最古の学生寮”と言われています。

関西テレビは和解直前の23日、寮の内部を取材しました。

【吉田寮生】「ランダムな出会いがある。謎の空間がおもしろい」

【元吉田寮生】「『どっか行くところないの』と言われ、『あっ、吉田寮だ!』」

吉田寮の”いま”を探りました。

■寮費は月2500円!一方、老朽化で明け渡し求め大学側と裁判に

【吉田寮生(25)】「これが吉田寮・現棟の入口です」

学生が運営を行う「自治寮」である京都大学・吉田寮。

寮費は光熱費込みで月額約2500円。

多くの学生たちの自由な生活のあとが残されていて、京都大学ならではの独特な空間です。

しかし、歴史があることで現実的な問題にも直面しました。

2017年、京都大学は「老朽化により、地震で倒壊する恐れがある」などとして退去通告を出し、その後、応じない寮生に対し、明け渡しを求めて訴訟を起こしたのです。

これに対し吉田寮側は、「適切な補強ができれば建物の使用は可能」、「学生の自治を奪おうとしている」と主張。

去年の一審判決では、通告の前から住む寮生は住み続けることが認められた一方、通告の後に入った寮生には明け渡しが命じられました。

■「新棟」はあるけれど「現棟」に…寮生「ランダムな出会い、謎の空間がおもしろい」

そのため、ほとんどの寮生は現在、10年前に建てられた「新棟」に住んでいます。

それでも、引き寄せられるように、寮生たちは「現棟」へ。

様々な個性ある人たちがふらっと立ち寄る、団らんの場になっています。

【元吉田寮生】「気づいたら裸足で(知人の家の前で)寝てて『どっか行くとこないの』っていわれて『あ、寮だ!1回ステイするか』つって」

【吉田寮生(21)】「ランダムな出会いがあるっていう、謎の空間がおもしろい。おしゃべりが楽しい」

■寮生「空間を残したい」求めるのは「話し合いの再開」建て替えの可能性も

寮生たちは「訴訟ではなく、『話し合い』を再開してほしい」と話します。

【吉田寮生(21)】「和解したら、争いが終わった感が出る。ある意味では終わったんですけど、問題はめちゃくちゃ残っていて、ずっと言ってることは『話し合いの再開』で、ここ10年一切ない」

和解では、大学側が遅くとも5年以内に耐震工事を完了させる代わりに、寮生は来年3月末を期限に一時的に退去し、耐震工事が終わり次第、再び入居できることが決まりました。

【吉田寮生】「寮という空間を残したい。未来のこれから寮を使いたい人々に残したいという思いから、難しい決断をしました。なので、そこを尊重して大学側にも話し合いのテーブルにつき、現棟の老朽化の補修に向けて、協力をしてほしい」

和解では、現棟が建て替えとなる可能性も残されていて、今後は、吉田寮の現棟が工事の後もいまのままの形で残されるかが焦点となります。

(関西テレビ「newsランナー」8月25日放送)

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