たとえば、きちんとした服装の人は信用できるという思い込みを多くの人がもっており、その思い込みにしたがって行動していることを示した実験がある。

古典的な実験だが、心理学者のレフコヴィッツたちは、信号を無視して横断歩道を渡り始める人物の服装によって、それにつられて渡り始める人の比率が違うかどうかを確かめる実験を行っている。そこでは同じ男性が服装を替えて、信号を無視して横断歩道を渡った。

きちんとした服装の人につられて信号無視?(画像:イメージ)
きちんとした服装の人につられて信号無視?(画像:イメージ)

その結果、きちんとした服装の場合は14%がつられて信号を無視して渡り始めたのに対して、だらしない服装の場合はつられて渡り始めた者はわずか4%しかいなかった。

また、心理学者シャボーたちは、同じ人物が服装を替えて、通りがかりの人に道を尋ねるという2つの条件を設定し、実験を行っている。その結果、きちんとした服装をしている場合の方が、詳しく道順を教えてくれる人の比率がはるかに高いことが確認された。

中身はわからないものの、服装がきちんとしている人を信用するというのは、それほど意外なことではないだろう。ビジネスの場において、身だしなみに注意するように言われるのも、そうした人間心理を前提にしてのことと言える。

なぜ「思い込み違い」のトラブルが起きる?

ビジネスの場でも、ちょっとした思い込みがトラブルにつながったりすることがある。機械の納入に際して、記憶のスレ違い絡みのトラブルを経験したという人は、自らの経験をつぎのように語る。