仕事や日常の場面で成功や失敗に直面したときの「あのときどうしたっけ?」と思い出して、目の前にある課題を解決するために生かすことはよくあるだろう。

こうした思い出す力が、そうした課題を解決するための大きな武器になるという。

心理学者・榎本博明さんの著書『なぜあの人は同じミスを何度もするのか』(日経プレミアシリーズ)から、課題を解決するために記憶の心理メカニズムがどのように働くのか、を一部抜粋・再編集して紹介する。

仕事で活かす就職後の「記憶」

課題解決能力に回想記憶(過去の出来事についての記憶)が関係していると言われるのも、過去のエピソードをうまく整理しつつ記憶していれば建設的な判断がしやすくなるからである。

回想記憶の中でも、とくに自分自身にまつわるものを「自伝的記憶」という。幼い頃から現在に至る自己形成史を構成する記憶のことである。

仕事で活かすのは、就職してからの自伝的記憶が中心となるが、自伝的記憶というのは、いわば法律の世界の判例集のようなものである。

過去の記憶から課題を解決の道筋をつけることも(画像:イメージ)
過去の記憶から課題を解決の道筋をつけることも(画像:イメージ)
この記事の画像(4枚)

このようなケースで、以前こうしたらこんな良い結果につながった、あるいは以前こうしたらこんな失敗につながった。かつて似たような苦境に立たされたとき、こんなふうにして乗り越えることができた。前に似たような争いごとが起こり、仲裁に入ったら、こっちまで巻き込まれて泥沼になった。

このような自伝的記憶を参照することで、今、目の前の出来事や状況に対してどう対処するのがよいかの見当をつけることになる。

仕事相手への回想記憶も重要

仕事で接する相手に関する回想記憶も課題解決能力を高めてくれる。