五色ヶ原から越中沢岳へ 水の力が生み出した絶景「ダイヤモンドルート」を行く

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北アルプスの立山から薬師岳を目指す「ダイヤモンドルート」縦走シリーズの第2回。今回は「雲上の楽園」と称される五色ヶ原から越中沢岳を経て、スゴ乗越小屋までの道のりをたどる。

天空のオアシス「五色ヶ原」の自然

「たまに、天国だ~って言って入ってこられる人もいる」と五色ヶ原山荘の志鷹祐亨さんが語るように、五色ヶ原は立山室堂からおよそ5時間半でたどり着く雲上の楽園だ。「花の百名山」にも選ばれ、夏には可憐な高山植物が咲き誇る。

この美しい景観は、約10万年前の火山活動で流れ出た溶岩が形成した。なだらかな溶岩台地には、泥炭層にできる小さな水たまり「池塘」も点在し、湿原特有の植物や昆虫が生息する天空のオアシスとなっている。

しかし、近年は環境の変化も見られる。五色ヶ原へ向かう登山道、鬼岳の東側の雪渓が小さくなっているという。

「けっこう大きな雪渓で2つの雪渓がつながるような感じだったが今はなんか寂しいくらいに雪減ってきましたね」と志鷹さん。雪が早く消えることによる危険に対応するため、ハシゴを設置するなど安全確保の取り組みも行われている。

水の力が刻んだ地形をたどる

五色ヶ原山荘から2日目は、鳶山、越中沢岳を経て、スゴ乗越小屋を目指す。越中沢岳への道は標高差約250メートルを下り、比較的なだらかな稜線を登り返す。

この斜面の特徴的な岩くずの広がりは、日本海側から吹き付ける季節風によって形成されたものだ。岩の間に入った水が融けたり凍ったりを繰り返すことで、岩が砕かれてばらばらになっていく。

立山カルデラ砂防博物館の飯田肇さんは、このルートの魅力をこう語る。

「このルートは特にスゴに行く道は、左側に黒部川の大峡谷、これを見ながら、絶えず黒部川を眺めながらたどるような道なんですね。それで黒部川はご存じのように日本一のV字峡谷。水が削った、水の力がよくわかる、そういう峡谷です」

五色ヶ原から約3時間、標高2591.4メートルの越中沢岳山頂に到着する。「黒部の源流に孤高を誇る山」とも呼ばれるこの山からは、黒部川の源流域の山々や薬師岳も望むことができる。

スゴ乗越小屋へ 奥深き北アルプスの旅

越中沢岳からスゴ乗越小屋までは標高差300メートル以上を3時間かけて進む。足元の不安定な登山道や急斜面のアップダウンを繰り返しながら樹林帯へと下っていく。

長い道のりを経て到着したスゴ乗越小屋(標高2270メートル)からは、北アルプスの奥深さを実感することができる。

変化に富んだ登山道が続く「ダイヤモンドルート」。シリーズ次回は最後の目的地、薬師岳を目指し「再び氷河の世界へ」と歩みを進める。

富山テレビ
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