「早期の『宮崎コシヒカリ』が到着しました。100トン以上は仕入れる見込みです」。福岡県内のコメの卸売会社に8月8日、待ちに待った“新米”が、大型トラックで運ばれてきた。

“救世主”の備蓄米は山積み状態

福岡・広川町にあるコメの卸売会社『カネガエ』。この会社では、7月末から宮崎県産の早場米の入荷を開始。現在、1日に20トンほど精米して福岡県内の小売店に出荷している。

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「中粒のコシヒカリなんですけど、きれいな水晶体で見栄えも良くて瑞々しくて、おいしいと思います」と『カネガエ』の轟良生さんの表情も綻ぶ。

気になる仕入れ価格については「例年に比べれば、やはり2倍近くは上がっています。いま大雨や高温障害の影響も出てきて、天候でも左右されるから、全部が獲れてみないことには値段もはっきりは分からないところ」という。

一方で「令和3年産の政府の備蓄米になります」と轟さんが指差した新米出荷作業の脇には、ついこの前まで”救世主”と呼ばれていた備蓄米が山積みになっていた。

8月末が販売期限となっている随意契約の政府備蓄米。備蓄米を巡っては、全国で配送に遅れが出るなどし、8月5日、小泉進次郎農林水産相が、申し込みが確定していた約30万トンのうち、ほぼ1割にあたる2万9000トンほどがキャンセルされたと明らかにした。

この会社では、2021年産のいわゆる古古古米を100トン契約し、まだ5キロ2500袋分が残っている。販売会を開催し、数量制限なし、1800円で売る予定だというが、期限内に売り切れるのか? 「何とも言えないが、頑張って売りたい…」と轟さん。苦笑いを浮かべた。

一方、福岡市内のスーパー。コメ売り場はいまどうなっているのか。

備蓄米在庫は期限内に売り切れる?

「こちらが、当店が入荷した宮崎県産の新米となっています」と店内を案内してくれたのは『サンリブBUONO原』の太田純平さんだ。

売り場には、早くも新米が並んでいた。宮崎県産のコシヒカリで価格は5キロ、税込み5163円だ。

太田さんは「8月5日から販売している。価格が例年の1.5倍から2倍ほどで、少々高いんですけど、やはり新米。“縁起物”ということでお買い上げ頂いております」と売れ行きは好調だと話す。

新米の隣には2024年産の銘柄米がずらり。県産米である『夢つくし』は5キロ4839円で販売されていた。

買い物客の反応も「新米の値段はどんなものかと思っていたので、高いと言えば高いが、銘柄米とあまり値段が変わらない。もうちょっと考えてから買う」と話す買い物客や「やっぱり新米がいい。おいしければおいしい方がいい」と話す買い物客などさまざまだ。

また、福岡を中心に展開する大手ディスカウントストア『ミスターマックス』。福岡・春日市の店舗を訪れてみると、コメ売り場にはかなり多くの種類がある。

複数の銘柄米と輸入米、さらに新米と備蓄米も並んでいた。価格は、新米が5キロ4210円。備蓄米が1944円とその差は2000円以上ある。

買い物客に訪ねると「1度、備蓄米を買ったんですけど、やっぱり艶とかが余りなかったし、新米なら甘みもあっておいしいかな」と新米“押し”だった。

『ミスターマックス春日店』の松原拓哉さんは「おいしくご飯を頂きたい人は新米、ファミリー層とかで量が必要なお客様は備蓄米と客のニーズによって売り場も変化している」と話す。

その一方で、備蓄米の在庫は期限内に売り切れそうかと尋ねると「そうですね、完売を目指しています」という答えだった。

コメの生産量の不足を認め、これまでの農政を転換し、増産に舵を切る方針を表明した石破茂首相。令和のコメ騒動の行く末はどうなっていくのか。

(テレビ西日本)

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