鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。
一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。
そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。
栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。
写真・文=栗原悠人
入道雲を愛してやまない私は、入道雲を見つけると足を止めてしまう。
目の前に広がる夏の景色は、ずっと昔、夏休みに感じていた高揚感を思い出させてくれる。
まるで、当時の「わくわく」が詰まったタイムカプセルのようだ。
そして、同じ場所で同じ形の入道雲に出会うことは2度とない。
その儚さは、夏休みの終わりが近づいてきた時の、あの寂しい心情に似ている。
だからだろうか。入道雲を見ると、ノスタルジックな気分になる。
田畑と入道雲
■栃木県日光市

車を運転中、進行方向とは異なる方向にこの景色を見つけて、無視することはできなかった。
■北海道北竜町

日本最大級の大きさを誇る「北竜町ひまわりの里」のひまわり畑にて。下を向いているひまわりが多かったのが少し悔しかった。
■鳥取県鳥取市

稲穂がたれ始めてきた頃の田園地帯にて。山陰らしい橙色の屋根と空の色の組み合わせが良い。
■滋賀県長浜市

車を安全に止められる場所を探すまでに苦労した。雲は数分で全く違う形になるので時には撮影をあきらめることもある。