鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。

一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。

そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。

栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。

写真・文=栗原悠人

昭和の中盤、炭鉱の隆盛は人々に仕事を与え、学校や娯楽施設までもが揃う大きな街をいくつも生み出した。

1950~1960年頃になると、海外の安い石炭との価格競争や石油へ転換により、多くの炭鉱が閉山した。人口1万人以上を数えた炭鉱街が丸ごと消滅した例もある。

目の前に確かにあったであろう人々の営みが、こうも簡単に何も無くなってしまうのか…。

ここに住んでいた人はどのような想いで町を離れたのだろうか…。

胸が締め付けられる。

北海道の炭鉱跡

■浦幌町 浦幌炭鉱跡

北海道浦幌炭鉱跡(2021年8月撮影)
北海道浦幌炭鉱跡(2021年8月撮影)
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浦幌町にあり、かつては高校ができるほどの規模だった。閉山後、現在は誰も住んでいない無人地域となっている。

■沼田町 浅野雨竜炭鉱跡

浅野雨竜炭鉱跡(2023年4月撮影)
浅野雨竜炭鉱跡(2023年4月撮影)

豪雪地帯にあり、4月中旬でも雪が残っていた。往時は約5000人の人口を誇ったが、ひとけは全く感じなかった。

■三笠市 旧奔別炭鉱

旧奔別炭鉱(2022年8月撮影)
旧奔別炭鉱(2022年8月撮影)

「ぽんべつ」と読む。1971年まで稼働していた地下への昇降機がある立坑櫓は51mもの高さがあり、シンボルになっている。

■三笠市 旧幌内炭鉱

旧幌内炭鉱(2022年6月撮影)
旧幌内炭鉱(2022年6月撮影)

幌内炭鉱景観公園として遊歩道が整備されているが、半分は緑に飲み込まれていた。採掘したばかりの石炭を保管する原炭ポケット等が残る。