鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。
一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。
そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。
栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。
写真・文=栗原悠人
昭和の中盤、炭鉱の隆盛は人々に仕事を与え、学校や娯楽施設までもが揃う大きな街をいくつも生み出した。
1950~1960年頃になると、海外の安い石炭との価格競争や石油へ転換により、多くの炭鉱が閉山した。人口1万人以上を数えた炭鉱街が丸ごと消滅した例もある。
目の前に確かにあったであろう人々の営みが、こうも簡単に何も無くなってしまうのか…。
ここに住んでいた人はどのような想いで町を離れたのだろうか…。
胸が締め付けられる。
北海道の炭鉱跡
■浦幌町 浦幌炭鉱跡
浦幌町にあり、かつては高校ができるほどの規模だった。閉山後、現在は誰も住んでいない無人地域となっている。
■沼田町 浅野雨竜炭鉱跡
豪雪地帯にあり、4月中旬でも雪が残っていた。往時は約5000人の人口を誇ったが、ひとけは全く感じなかった。
■三笠市 旧奔別炭鉱
「ぽんべつ」と読む。1971年まで稼働していた地下への昇降機がある立坑櫓は51mもの高さがあり、シンボルになっている。
■三笠市 旧幌内炭鉱
幌内炭鉱景観公園として遊歩道が整備されているが、半分は緑に飲み込まれていた。採掘したばかりの石炭を保管する原炭ポケット等が残る。
