鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。

一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。

そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。

栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。

写真・文=栗原悠人

川崎市で生まれ育った自分にとって、駅は街の中心にあるものだと思っていた。

しかし、日本はとても広いもので、駅前に集落はおろか、家一軒すらない駅もあると知った。

そういった駅を「秘境駅」と呼ぶ。

辺りには誰一人としておらず、静けさに包まれている。

遠くから列車がやって来た。

降りて来る客がいるはずもなく、運転士以外無人だった列車に自分を乗せ、隣町へと運んでくれた。

あぁ、旅情。

北海道

■留萌本線真布(まっぷ)駅

留萌本線真布(まっぷ)駅(廃止済)/北海道(2023年1月撮影)
留萌本線真布(まっぷ)駅(廃止済)/北海道(2023年1月撮影)
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雪の中に浮かんでいるような秘境駅。秘境駅愛好家に人気の駅だったが、訪問後に廃止になってしまった。

■釧網本線美留和(びるわ)駅

釧網本線美留和(びるわ)駅/北海道(2023年6月撮影)
釧網本線美留和(びるわ)駅/北海道(2023年6月撮影)

1日の利用者数は3人以下。北海道の小さな駅では、かつての緩急車を駅舎に転用している例が多い。

東日本(青森県・長野県)

■五能線驫木(とどろき)駅/青森県

五能線驫木(とどろき)駅/青森県(2024年7月撮影)
五能線驫木(とどろき)駅/青森県(2024年7月撮影)

日本海沿いにあり駅周辺に建物は無い。波音と、時折通る車の音が聞こえるだけの、落ち着いた雰囲気だ。

■飯田線為栗(してぐり)駅/長野県

飯田線為栗(してぐり)駅/長野県(2023年5月撮影)
飯田線為栗(してぐり)駅/長野県(2023年5月撮影)

飯田線は「秘境駅号」という列車が走るほど、秘境駅の密集地。航空写真を見ると、「何故ここに駅が」と驚く。