鄙びた温泉街、迷路のような路地、静かにたたずむ木造駅舎…。
一度も来たことはないのに、なぜか懐かしく心惹かれる。
そんな、郷愁溢れる風景を求めて旅する「一人旅研究会」こと栗原悠人さん。
栗原さんが全国各地でカメラに収めた心揺さぶるシーンをお届けする。
写真・文=栗原悠人
川崎市で生まれ育った自分にとって、駅は街の中心にあるものだと思っていた。
しかし、日本はとても広いもので、駅前に集落はおろか、家一軒すらない駅もあると知った。
そういった駅を「秘境駅」と呼ぶ。
辺りには誰一人としておらず、静けさに包まれている。
遠くから列車がやって来た。
降りて来る客がいるはずもなく、運転士以外無人だった列車に自分を乗せ、隣町へと運んでくれた。
あぁ、旅情。
北海道
■留萌本線真布(まっぷ)駅

雪の中に浮かんでいるような秘境駅。秘境駅愛好家に人気の駅だったが、訪問後に廃止になってしまった。
■釧網本線美留和(びるわ)駅

1日の利用者数は3人以下。北海道の小さな駅では、かつての緩急車を駅舎に転用している例が多い。
東日本(青森県・長野県)
■五能線驫木(とどろき)駅/青森県

日本海沿いにあり駅周辺に建物は無い。波音と、時折通る車の音が聞こえるだけの、落ち着いた雰囲気だ。
■飯田線為栗(してぐり)駅/長野県

飯田線は「秘境駅号」という列車が走るほど、秘境駅の密集地。航空写真を見ると、「何故ここに駅が」と驚く。