安倍元首相銃撃事件で殺人などの罪に問われている山上徹也被告(45)の裁判で、検察側は無期懲役を求刑しました。

詳しい情報を奈良地裁から関西テレビ・大野雄斗記者が中継でお伝えします。

審理の最終日となる18日の裁判ですが、現在は弁護側の最終弁論が行われています。

山上徹也被告は、3年前に奈良市内で演説中の安倍元首相に手製の銃を撃ち殺害した罪などに問われています。

18日の裁判では、安倍元首相の妻・昭恵さんの意見が書面で読み上げられました。

「突然夫を亡くした喪失感は一生消えることはありません」「被告人には、正面から自分のした罪を受け止め、きちんと罪を償うことを求めます」と意見が読み上げられました。

その際、山上被告は机の上で手を組み、下を向いて聴いていました。

その後、検察側の論告求刑が1時間以上にわたって行われました。

検察側は、母親が旧統一教会に多額の献金を続けた山上被告の不遇な生い立ちについては否定しないとしつつも、善悪の判断ができる社会人だったとして「不遇な生い立ちは安倍元首相とは無関係」だと指摘。

「社会を変革するために暴力行為を行うことは法治国家では許されない」と厳しく非難しました。

さらに、「300人の聴衆がいて被害者以外にも命中する可能性があった」として無期懲役を求刑しました。

求刑された時、山上被告は手元の資料をみつめて表情を変えることはありませんでしたが、その後眼鏡を外し、頭を抱えるしぐさを見せたということです。

弁護側の最終弁論のあとに山上被告の発言があり、全ての審理を終えます。
判決は2026年の1月21日です。

青井実キャスター:
安倍元首相の銃撃事件から3年5カ月ということですが、裁判は18日結審して、検察側は無期懲役を求刑したという情報でした。ここからは平松秀敏解説副委員長と見ていきます。

遠藤玲子キャスター:
18日は検察の論告求刑、弁護人の最終弁論そして、山上被告の最終陳述が行われます。検察は、論告求刑の中で被告の生い立ちについては否定しないとしつつも、善悪の判断できる社会人だとして不遇な生い立ちは安倍元首相とは無関係と指摘しました。また、被告は被害者に命中させるべく無防備な背後から発射したなどとして、卑劣で冷酷、著しく悪質な犯行である。周囲には約300人の人がいたと指摘。人的被害は1人のみだと考える人もいるかもしれないが、行動責任を考える必要があるとして、検察は無期懲役を求刑しました。

青井実キャスター:
平松さん、死刑を求刑するのではという見方もありましたが、この無期懲役という判断どう見ますか?

平松秀敏解説副委員長:
日本の刑事裁判では殺人事件の場合、被害者が1人だと死刑が選択されるケースが極めてまれなんですね。そう考えると今回の安倍さんのケースも安倍さんが1人だったという点を重視して無期懲役を選択したんだと思います。あとは政治的なテロであるという主張展開をしなかったので、過去のこれまでの事件と照らし合わせて無期懲役を選択したのだと思います。

青井実キャスター:
柳澤さんは、この無期懲役という判断、どう見ますか?

SPキャスター・柳澤秀夫さん:
正直なところ死刑の求刑かなと思っていたんですが、日本の裁判は凡例主義ですから過去の裁判に基づいて論告をするとすればこういうふうになるというのは、自然な流れなのかなとは思います。

遠藤玲子キャスター:
さらに18日は安倍元首相の妻・昭恵さんの意見陳述もその前に行われました。昭恵さんは法廷には出席せず、弁護人が書面を代読する形となりました。

青井実キャスター:
平松さん、結審のタイミングでの安倍昭恵さんの意見陳述ですが、検察側の狙いというのはどうみますか。

平松秀敏解説副委員長:
今回の裁判を通して、どうしても山上被告の生い立ちばかりが目立ってしまったという印象があるんですよね。ただ、そうではなくて亡くなったのが要は首相を務めて世界的なリーダーであると評価されている安倍さんですし、そのご遺族である昭恵さんの思いというのをしっかりと裁判官・裁判員に訴える必要があると思って、この意見陳述になったのではないかと思います。

青井実キャスター:
今後ですが、判決のポイントどういったところになっていくのかですけれども…。

平松秀敏解説副委員長:
安倍元首相と今回の生い立ち、全く関係ないんだとこれは検察側の主張ですよね。そして実は量刑分布を示して、過去の判例と照らしても無期懲役は妥当なんだよと。そこまで検察官はアピールをしている。
要は、量刑は生い立ちとは関係ない。今回の事件は無期懲役が妥当なんだと。そのうえで、裁判員が本当に生い立ちを考慮して無期懲役から例えば懲役30年とかまで差し引くのかどうか。
その判断というのが私、かなり注目のポイントだと思います。

青井実キャスター:
そういう意味では、柳澤さん裁判員裁判ですから裁判員の方は難しい判断を迫られる状況になるわけですが。

SPキャスター・柳澤秀夫さん:
裁判員にしてみれば、これまでの一連の審理を見たうえで、どういうふうに事件が社会全体に与えた影響を判断するかということはかなり難しいと思いますね。
このあと判決が出て、その判決を被告、弁護側が不服として上告するのか。あるいは検察側がどう対応するのか、そこもしっかり見ていく必要がありますね。

青井実キャスター:
判決は2026年1月21日ということですが、このあと、山上被告の最終陳述もありますからどういったことを語るのかも注目です。

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