実質は、最も深刻な『赤』と同じ状況…

1日の東京都の新型コロナウイルスの専門家会議では、新規陽性者数と感染経路不明者の数が、連休中に一時的に減ったものの、今週は連休前の水準に戻ってしまった、との分析が出された。今日から東京がGoToトラベルに参加することも踏まえ、「経済活動の活発化に伴い、感染拡大のリスクが高まるので、厳重に警戒する必要がある」と今後への危機感を改めてにじませた。

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それもそのはず…。
感染状況についての警戒レベルは、現在、2番目に深刻な『オレンジ』とされているが、実質は、最も深刻な『赤』と同じ状況なのだ。

データで見ると、『赤』だった9月3日のモニタリング会議で示された新規陽性者数の7日間平均は183.1人。これに対して、きょうの会議で出た数字は183.6人。「赤」を超えてしまっているのである。

にもかかわらず、きょうの会議でも、上から2番目の「オレンジ」が維持された。この点について、東京都のある幹部は「連休の影響が出てきたからすぐ変えるというのではなく、影響が消えてから、何週間か様子を見て判断すべき、との意見が専門家から出た」と話している。

職場での感染が70代以上を除く全世代で増えている

感染経路については、4連休中の無症状者などの行動の影響もあってか、感染経路不明者数の7日間平均が、前回の78人から98人に増加。接触不明者の増加比が100%を超えると増加傾向と位置づけられるが、今回の増加比は125.8%となった。

このところ常に最も多い家庭内感染が、やはり最多となったものの、前の週の40%から31.9%に大きく減った。その一方で職場での感染が、70代以上を除く全世代で増え、特に20代から30代では33.5%に、60代でも32.3%と高い割合になった。

国立国際医療研究センターの大曲センター長は、職場での感染について「昼食時や休憩時間の発生が複数報告され、狭い空間の休憩室など、職場内での基本的な感染防止対策の徹底が必要」とした上で、「一旦職場内で感染が拡大すると、複数の家庭に、新型コロナウイルスが持ち込まれる可能性が高くなる」と警鐘をならした。

国立国際医療研究センターの大曲貴夫センター長
国立国際医療研究センターの大曲貴夫センター長

小池知事は「一息つく時も、基本的にはこのマスクの着用であるとか、消毒等に、くれぐれもご注意をいただきたい」と述べた後、「なかなかいつも同じことを繰り返していると、だんだん聞き慣れてしまうのが問題」とも。

仕事の合間のランチや休憩といった、本来ならほっとする場面でも気を緩められない感染制御の難しさを改めて感じる会議となった。

(執筆:フジテレビ社会部 都庁担当 小川美那)

小川美那
小川美那

「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て現在は都庁担当。