一方、大陸国家は、攻撃されることがしばしばあります。フランスは1792年から敵国に7回侵入され、3回敗北。1815年、ナポレオンはイギリス・プロイセン連合との戦い(ワーテルローの戦い)で敗れました。1870~71年、フランスは、プロイセンに侵略されて敗北。1940年、ナチス・ドイツ軍は、フランスを占領しています。
ロシアは、過去200年で5回侵攻されました。1812年、ナポレオンに侵略された。1854年、フランスとイギリスが、クリミア半島を攻撃。1914~18年の第1次世界大戦時、ドイツ帝国に侵攻された。1921年、ポーランドが、ソ連侵攻。
1941年、ナチス・ドイツは、ソ連に侵攻。5回の対ロシア、対ソ連侵攻のうち、4回は陸からの攻撃でした。これらの事実からミアシャイマーは、〈海を越えて守りの堅い敵の大国の領土を侵攻するのは、どの軍隊にとっても非常に難しいのである〉(同前187~188p)と結論づけているのです。

北野幸伯
国際関係アナリスト。著書に『プーチン最後の聖戦』、『日本人の知らない「クレムリンメソッド」世界を動かす11の原理』(ともに集英社インターナショナル)、『中国に勝つ 日本の大戦略』、『日本の地政学』(ともに育鵬社)等。