日本の敗因で考えられること

歴史に詳しい人は、「そうはいっても、日本はアメリカに占領されたではないか?水の制止力は、どうなっているのだ?」とツッコミを入れることでしょう。

まず、日本は「戦線を拡大しすぎた」ことが敗因として挙げられるでしょう。

小さな日本は、満洲で戦いながら、オーストラリアを攻撃していたのです。日本国内が「スカスカ」になっていた。ですが、1945年夏の時点でも、アメリカ政府は日本本土への「上陸許可」を出しませんでした。米軍の犠牲者が膨大な数になることを恐れたのです。

日本がアメリカに降伏した背景には、原爆投下とソ連参戦という二つの理由がありました。ですが、「水の制止力が働かなかったわけではない」こと、ご理解ください。

同じ島国家・イギリスの場合

日本と似たポジションにある島国家イギリスの場合はどうでしょうか。ミアシャイマーは書いています。

「水の制止力」でイギリスも守られてきた(画像:イメージ)
「水の制止力」でイギリスも守られてきた(画像:イメージ)

〈1945年に至るまで、イギリスは400年以上も大国として存在し続け、数え切れないほどの戦争を戦ってきた。この長い歴史の中で、イギリスはたったの一度も侵略されたことがない。敵国がイギリス海峡を越えて侵攻すると脅してきたことはあるが、実際に相手が揚陸船を使って侵攻してきたことはない〉(同前172p)

これは「水の制止力」について語っているのです。強大な力を誇った、ナポレオンのフランスも、ヒトラーのドイツも、イギリス海峡を越えて、この国を征服することはできませんでした。「水の制止力」が働いたからです。