参議院選挙で自民党が苦戦する中、17議席を獲得し大きく躍進した国民民主党。

山尾志桜里氏の公認問題や、玉木雄一郎代表の備蓄米を巡る不適切発言など、“逆風の選挙戦”と思われましたが…。

年収の壁を103万円から178万円まで引き上げるなど「手取りを増やす政策」を訴え続け、演説には多くの若者が集まりました。

「サン!シャイン」は、そんな国民民主党の玉木雄一郎代表(56)に直接インタビュー!自公との連立は?今後の動きは?気になる質問を、詳しく聞きました。
“控除の壁” 秋の臨時国会には法案提出
国民民主党 玉木代表:
16議席を目指して今回、闘って参りました。結果17議席ということで目標を超えましたので、予算を伴う法案を国会に提出できる権利を得ましたので、我々がずっと訴えてきた手取りを増やす経済政策、そのほとんどは予算関連法案の提出と成立が必要なので、そういう意味では、政策実現力を一つ高めることができたかなと。

――ずっと“控除の壁”を打ち破ることを訴えていますが実現はいつごろ?
秋の臨時国会でやりたいですね。一部これまで自公と協議して年間2万円くらいの手取りアップは実現しているのですが、我々10万円程度の手取りのアップを目指してこれまでやってきましたので。インフレで1世代あたり平均で年9万円くらい支出が増えているということになっていますから、10万円程度の手取り増がないと、結果として貧しくなってしまうので、控除額の引き上げ、深掘りをして、できれば年末調整でお返しできるよう秋の臨時国会で法案を提出して、与野党各会派に、賛同を求めていきたいと思います。
当面の物価高騰対策と合わせて、日本が30年成長してこなかったことがやはり問題だということで、「新三本の矢」という10年間で1000兆円のGDPを達成するという成長戦略もしっかり示しているのが、我が党の経済対策の特徴だと思っています。
手取りを増やして消費と働き控えをなくしていく、投資を増やして今100兆円くらいのを10年で300兆にする。それで、一番大事なことは「人造りこそ国造り」ですから、資源のない日本で教育や科学技術に対する投資を今5兆円規模なのを10兆円に倍増する。10年間で集中的に、研究開発とイノベーションの後押しをして、パイ自体を大きくする、給料を上げる、生産性を上げる、年金も増える、こういう社会経済を実現したいと思っています。
与党と手を組む可能性は?
――今後、自公と手を組む可能性は?
玉木代表:
石破さんが続投されるということなので、我々はこれからも「対決より解決」でいきますけれども、そのベースは“信頼関係”なんです。
去年の12月11日に、103万円から178万円を目指して今年から引き上げるということと、ガソリンの暫定税率廃止は、自公国三党で文書まで交わして合意していると。それを守らない政権とはやれないと思います。

――仮に新しい総裁は誰なら信頼できる?
いや…でも石破さんが続投されるんですよね?今後自民党内政局がどうなっていくのか、8月1日までは石破さんかもしれませんが、その後、本当に石破さんでいいのかなと。
自民党内、公明党も含めた与党内で果たしてそれでいいという話になるのか、そこは与党内の政局を我々も見定めたいと思います。
「物価高騰対策として消費税減税を訴えたことはない」
――「消費税の減税」実現について
玉木代表:
我々は物価高騰対策としては、所得税住民税の控除額を引き上げて、それによる手取り増を訴えていて。トランプ関税の影響によって経済が悪化したときの景気対策としては消費税減税を訴えていますが、物価高騰対策としては、去年の衆院選挙から変わらず控除額の引き上げ、これは世界では標準的な物価高騰対策なんですね。それを日本だけやってこなかったので30年、だからやりませんかと我々はずっと言ってきたんですが。
なぜか消費税の減税か給付か、消費税も全部下げるのか食品だけ下げるのかという、そういった争点で話が進んでいますが、我々は物価高騰対策として消費税減税を訴えたことはありません。

――消費税減税にすぐに着手する予定はない?
すぐにやっても、早くても来年の秋の実施だと思います。ですから、これはトランプ関税がどうなるかをよく見定めていくことが必要なのと、我々が今提案しているのは、どの政権になっても景気対策なり、物価高騰対策でもし消費税減税を使うとしたら、かなり柔軟に税率の変更ができるようにしておかなければいけないので、もしやるなら、今の消費税法を例えば、5~10%の範囲内と幅は法律で決めて、具体的な税率については景気を見ながら、政府が政省令で決めると。イギリスのような制度に変えないと柔軟性が確保できないと思います。
ですから、消費税の減税に関してはどうやっても来年以降になりますから、その意味では一番金額的にも、スピードにおいても、もっとも早くて、効果が高いのは、所得税・住民税の控除額を深掘りして、年末調整で間に合わせることだと。これ以上に早くて効果のある方法はありません。ですから、我々としても法案を提出して、与野党各党にも呼びかけていきたいと思っています。
他野党との連携「政策によって」
――野党全体での共同は考えていないということですが、法案を通すに当たり他の野党と協調するという考えは?
玉木代表:
もちろんあります、政策ごとに一致できるものは与野党超えて協力していきたい、これは今までもそうしてきましたし、これまでもそうしていうと。ですから、どこと組むより、何を成し遂げるかということでやっていけばいいと思っています。
例えばガソリンの暫定税率廃止は先の通常国会の最後で、立憲や維新と一緒に出しましたし、政治資金の監視の第三者委員会の設置法案については、公明党と我が党で共通で法律を出して、そこに立憲や自民が乗ってきて成立したという経緯もありますから、政策によって連携できるところと連携して前に進めていきたいと思っています。

玉木代表:
結局今回の参議院の結果をさかのぼると、去年の12月11日の2つの約束を自民党公明党が守らなかったからですよ。別に我々をないがしろにするのは結構なんですが、政治ですから、ただ去年の衆院選で我々に託され国民の思いですね、その思いをないがしろにしたから、今回の参院選で厳しい結果になったのではないかなと。
約束を守っていただけなかった、そのことは我々としても、重く考えていますし、約束を守っていただけないところとは…2回ある意味だまされるわけにはいきませんから、そこは我々としても厳しく向き合っていきたいと思います。

――外国人土地取得規制法などで、今後、参政党との連携も視野にはある?
外国人土地取得規制法は、2023年から我々は国会に法律を提出しています。やはり、日本の土地というのは買い放題だし、一度取得すると、私的所有権を究めて強く保護する法体系になっています。
一方で我々は中国の土地は買えないという、相互主義の観点からも一定の問題があると思っていますので、ぜひこれは成立させていきたいと思っています。そのときには、参政党だけでなく、与野党超えて協力いただけるところは協力を呼びかけていきたいと。
公明党や立憲民主党は非常に慎重なんですが、それ以外にも協力・賛同いただけるところは多いと思いますので、大正時代に作られた「外国人土地法」の改正も含めて、具体的な法改正案もお示しするので、ぜひご協力いただけるところには協力していただきたいと。
自公との連立「約束守れないところはやれない」
――今後、自民党が考えを改めて、控除の壁を一緒にやりましょう、成長戦略も理解しますと言ったら連立の選択肢はある?
玉木代表:
いや…あの、やっぱり一回裏切られると、なかなかああそうですかとはならないですね。
我々はかなりリーズナブルなことを言っていて、消費税の減税をやれといったらそれはなかなか大変ですが、所得税の控除額を引き上げるのは、国際的にも当たり前のようにやっていますし、日本も1960年代には1年に1万円ずつ上げていったんです。それが止まったのが1995年なので、過去もやってきた世界でもやっている当たり前のことをやろうと言っているわけです。
インフレは放っておくと、それ自体が増税効果があるので、その増税分をニュートラルにしようと、減税しようとは必ずしも言っていなくて、増税を抑えて、インフレで支出が増えている分を手元に残しましょうと言っているので、リーズナブルなんですけどね。

――連立は選択肢にもないと?
約束を守れないところとは、やれません。
(「サン!シャイン」 2025年7月21日放送より)