島根・松江市の小学校で7月16日、服を着たまま溺れたときの対処法を学ぶ講習会が開かれた。
児童たちに伝えたキーワードは「ういてまて」。
修学旅行中だったこの学校の児童らも犠牲になった1955年の旧国鉄連絡船「紫雲丸」の事故を教訓に、水の事故から命を守る術を学んだ。

服を着たままプールへ 命を守る「ういてまて」講習
松江市の川津小学校のプールサイドに集まったのは、6年生の児童たち。
トレーナーやジャージ姿、服を着たまま、プールの中に入った。
「みんながこの今の状態で海に投げ出されたらどうする?」
子どもたちへの問いかけで始まったのは「ういてまて」講習。
元消防署員の講師から、服を着たまま溺れてしまったときの対処の仕方を学んだ。

「紫雲丸」事故を教訓に毎年訓練
川津小学校では、1955年5月、瀬戸内海で起きた旧国鉄連絡船「紫雲丸」の沈没事故で、修学旅行中に乗り合わせた児童、教員など25人が犠牲になった。
学校では、これを教訓に、毎年、水難事故に備えた訓練を行っている。

救助を待つのは「背浮き」で
講習で子どもたちが学んだのは、「背浮き」の方法。
仰向けになって、力を抜き、体を浮かせて救助を待つ「ういてまて」が、命を守るポイントだ。
このとき、手を挙げたり、大声を出したりすると沈んでしまうことを講師が実演して見せた。
また、児童たちはペットボトルやランドセル、履いている靴など身近なものからも体を浮かせる「浮力」を得られることも教えてもらい、3分間「ういてまつ」ことに挑戦した。

体験を通じ子どもたちも理解
参加した児童は「ペットボトルがあるのとないのとで、どんなふうに浮き方が変わるかが分かりました」、「もし溺れそうになっても、声を出さずに、静かに浮いて待つことが大事だと思いました」と話し、いざというときの対処法を理解した様子だった。

いざというときに…命を守る「ういてまて」
警察庁によると、2024年、水難による死者・行方不明者は全国で816人。このうち28人が中学生以下の子どもだった。
講師を務めた元消防署員の宮崎哲人さんは「短い授業ですが、『背浮き』という方法があること、ものにつかまったら浮いて助かることを1つでも覚えてもらえれば、自分の命を守ることにつながる」と話し、「ういてまて」をいざというときの備えとして覚えておいてほしいと呼びかけた。
(TSKさんいん中央テレビ)
