鹿児島市の活火山・桜島では、7月に入り山体膨張が観測されるなど、活動が再び活発になっている。9日未明の爆発では鹿児島市に大量の火山灰が降り、走行する車が灰をまき上げ視界が悪化するなど、市民の生活にも影響が出た。
7月に入り再び山体膨張 噴火活動が活発に
現在、噴火警戒レベル3の入山規制が続いている桜島では、7月5日午前5時ごろから,
山体膨張を示す地殻変動が観測されている。
山体膨張は、新たなマグマが供給された時などに起こるとみられていて、桜島は、5月にも山体膨張を観測し、活動が活発になっていた。
その後、6月には山体膨張が横ばいの状態になり、噴火回数が減るなど活動が低下したものの、7月に入って、再び山体膨張を観測、噴火が断続的に発生している。

9日未明の噴火で鹿児島市街地に大量の降灰
9日午前4時40分ごろ発生した爆発では、噴煙が火口から1500mまで上がり、火山灰は風に乗って、鹿児島湾(錦江湾)を挟んで4㎞ほど離れた鹿児島市街地方向へ流れた。
鹿児島市によると、繁華街の天文館からJR鹿児島中央駅方面で降灰(火山灰が降ること)が確認されたという。

視界が悪化しロードスイーパー19台が出動
降り積もった灰で街は灰色にくすみ、空気は、もやがかかったような状態に。さらに、車が通るたびにが灰が激しくまき上がり、視界がとても悪くなる。
そのため、市では車体に大きなブラシが付いたロードスイーパーや、散水車など19台を出動させ、灰を道路から除去するといった対応に当たった。
ロードスイーパーを運転していた男性は、「水を出しながらしないとホコリが立つので、苦情が来ないように。なおかつ、灰を取りやすいようにですね」と話し、念入りに作業を行っていた。
市街地に近い南林寺町では降灰で火山ガスのにおいが立ち込め、路面標示も灰に隠れて見えなくなっていた。取材中の記者が立つ歩道にも大量の火山灰。自転車のペイントマークが識別しにくくなっていた。


「掃いても、また戻ってくるんじゃないか」市民も灰の除去に追われる
降灰があったエリアでは、市民も掃除に追われていた。
店舗の前をほうきがけしていた飲食店のスタッフは、「久しぶりにこんなに降ったな、と。掃いても掃いてもまた戻ってくるんじゃないかと思ったり」と、終わりのない作業にうんざりした様子だった。
また、道路脇にたまった火山灰を水で流していた病院経営の男性は、「ここを通る人が少しでも気持ちが良ければいいかなと思ってやっています」と汗を拭った。

山体膨張は現在も継続 引き続き注意を

桜島では10日午後4時29分にも爆発が観測され、火口上空1800mに達した中量の噴煙が鹿児島市街地に流れた。この日は断続的に雨が降り、火山灰と雨が同時に降るいわゆる「灰雨」に見舞われた所もあった。気象台によると桜島の山体膨張は11日午後1時時点でも続いていて、山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生すると多量の降灰を伴う可能性があるとして、気象台では引き続き注意を呼びかけている。
(鹿児島テレビ)