夏においしい、コーヒーとお酒は?
暑くなるとつい、アイスコーヒーやお酒を飲みたくなる人もいるはず。これらは熱中症リスクの視点だとどうなのだろうか。
「コーヒーには利尿作用を促すカフェインが含まれています。しかし、1日にコーヒーだけを飲む人はいないはずなので、飲みすぎないように注意すれば問題ないでしょう」

その一方で、お酒は要注意。利尿作用があり、アルコールの分解にも水分が使われるそう。
例えば、350mLのビールを飲んだとしても、350mL以上の水分が体から出ていく。さらに、体温を上げてしまうリスクもあるという。
「夜になっても気温が高い日が多いです。お酒を飲んだ状態で寝てしまったり、外に出たりすると熱中症リスクも高まってしまいます」

もし、お酒を楽しみたいなら「アルコールだけ摂取しないこと」が大切。飲酒するなら一緒に食事をしたり、水を飲むようにしよう。
「可能であれば味噌汁や、夏が旬の野菜(水分が多くて塩が合う、トマト、キュウリなど)を一緒に食べられると良いでしょう」
熱中症は悪化すると、脳、肝臓、腎臓など他の臓器にも障害を与えかねない病気だ。軽く見ることはせず、対策してみてはいかがだろうか。
三宅康史(みやけ・やすふみ)
博士(医学)。東京医科歯科大学医学部卒業。帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長などを歴任し、一般社団法人臨床教育開発推進機構で理事を務める。救急医学、集中治療医学などを専門とし、熱中症のスペシャリストとして厚生労働省、環境省、自治体、NPOとの協働活動実績も多い。『医療者のための熱中症対策Q&A』(日本医事新報社)など著書も多数。
取材・文=内山直弥