去年、沖縄・名護市で確認されたウリ科作物を荒らす外来害虫が、今年6月時点で県内19市町村に広がった。

農水省は、4月からゴーヤーなどの県外搬出に検査制限を課す緊急防除を開始し、本土の沖縄料理店はゴーヤの入荷減に苦しんでいる。

沖縄の19市町村に急拡大する害虫被害

夏が近付くと、沖縄の定番料理「ゴーヤーチャンプルー」の独特の苦みが恋しくなる。そんな夏の味に、ピンチが迫っている。

神奈川・川崎市にある「沖縄料理 あしびなー」では、ゴーヤーがに使われた「ゴーヤーチャンプルーセット(1000円)」が人気の定番メニューだ。

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浅倉美恩アナウンサー
美味しいです!苦すぎなくて、他の食材とマッチしてます。夏が来たって感じがします。

「ゴーヤーチャンプルー」を楽しみに来たお客さんに、話を聞いた。

40代:
美味しいです。ゴーヤー、毎日食べてます。

70代:
とっても美味しいです。ゴーヤーがたくさん入ってて。私にとっては、ここが一番美味しい、今まで食べた中で。

そんなゴーヤーに、危機が迫っている。「セグロウリミバエ」が沖縄県内で今、ゴーヤーやスイカなどを食い荒らす被害を与えている。

体長わずか8ミリの小さな外来種で、そのサイズに似つかわしくない脅威から「8ミリの悪魔」とも呼ばれている。

去年3月に名護市で初めて確認されて以降、6月16日時点で、国頭村、東村、大宜味村、今帰仁村、本部町、伊江村、名護市、宜野座村、恩納村、金武町、うるま市、沖縄市、読谷村、北中城村、中城村、伊平屋村、伊是名村の19市町村まで拡大し続けている。

「不妊虫放飼」と「搬出検査強化」で封じ込め図る

こうした被害を防ごうと農林水産省は、2025年4月から「緊急防除」を実施した。

ゴーヤーやスイカなど対象の農作物を沖縄本島の外へ持ち出すことを制限し、生産者が島の外へ出荷する際には検査への合格が必要となる。

沖縄県産のゴーヤーをウリにしている関東の沖縄料理店からは、不安の声が聞かれた。

沖縄料理あしびなー・春野安弘さん:
今害虫が発生してなかなか本土の方に送れないということで、少なくなってるんですよ。本土に一匹も持ち込ませないという農林水産省の指示ですもんね。沖縄のお店を30年以上やってて産地直送、沖縄産のゴーヤーを売りにしてるので困ります。

「セグロウリミバエ」の根絶に向け、沖縄県では「不妊虫」の本格的な放飼を開始した。沖縄・名護市では6月19日、不妊化した蛹が約2万匹入ったカゴを設置した。

さらに2025年10月にはヘリコプターを使って、広い範囲に「不妊虫」を放つ予定で、拡大の封じ込めに懸命な取り組みが続いている。

害虫を持ち出し、被害を広げないために沖縄観光の際にも注意が必要だ。
(「イット!」7月2日放送より)

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