大麻の使用や所持、譲渡は麻薬取締法で禁止されている犯罪だ。違反すると7年以下の拘禁刑が課される。宮崎県内では、5月から6月にかけ大麻の使用や譲渡などの疑いで高校生など少年4人が逮捕された。若年層の大麻の蔓延が深刻化している。県内の学校では薬物乱用防止教室が開かれるなど啓発活動を強化している。

2023年と2024年、宮崎県内で大麻の使用や譲渡・所持で検挙された人を年代別に示したグラフ。いずれの年も20代が最も多く、10代と20代で全体の7割を占める。
なぜいま、若者の間で違法薬物である大麻が蔓延しているのか。その背景には、友人や知人からの誘いやSNSに溢れる情報など、大麻への危機感を覚えにくい状況があった。
若年層に大麻が蔓延する理由は

宮崎県警本部組織犯罪対策課 徳永正彦理事官:
以前は覚醒剤が多かったが、最近は大麻が増加傾向。若年層に広がっているのが警察としても懸念するところ。

県警も深刻に受け止めている若年層での大麻の蔓延。警察庁のまとめによると、20歳未満の「大麻を初めて使用したきっかけ」は、「好奇心や興味本位」が4割にのぼる。
県内で高校生など4人の少年が逮捕された今回の事件、大麻を手にしたきっかけは、「知人からの勧誘」だった。

県警本部組織犯罪対策課 徳永正彦理事官:
大麻の使用のきっかけは知人、友人などからの勧誘であったりして、好奇心や雰囲気に流されて使用してしまうケースが多い。
また、県警は、インターネットなどを通じて大麻の危険性を軽視する情報が広まっていることや、安易に入手できる状況が若年層での大麻蔓延に影響していると見ている。

実際にSNSで「大麻」と検索してみると…
「若者が大麻を吸うことは異常ではない」
「大麻っていうのは誰かと共有したいって感情が生まれる素晴らしい植物」
など、大麻を肯定するような情報が出てくる。

県警本部組織犯罪対策課 徳永正彦理事官:
「大麻は本当は体に影響はない」「少量なら依存症はない」という誤った情報を鵜呑みにして、大麻を乱用する傾向があるので、危険だと考える。
宮崎県内の高校で薬物乱用防止教室
大麻での高校生の逮捕を受け、宮崎市の鵬翔高校は県警に依頼して、緊急の薬物乱用防止教室を開いた。

警察の担当者:
大麻を使ってしまうと感覚が過敏に、感情が不安定になって暴力的になる。幻覚、妄想などに襲われる。
薬物乱用防止教室では、大麻をきっかけに覚醒剤にも手を染めた男性の実体験をもとに作られた動画も上映された。
生徒たちは、県内で同世代の高校生が逮捕された事件を驚きを持って受け止めている。
生徒:
すごい衝撃。ニュースでは耳にしていたが、自分の周りで起きているという自覚は全くなかった。
生徒:
どうしても薬物と聞くとすごく遠い存在に聞こえていたが、今日の講話を聞いて改めて身近なものだと実感した。

鵬翔中学・高等学校 土肥隆夫校長:
若い人たちに広がっているんじゃないかという危機的な思いがあるので、やっぱりそういう意味で注意を喚起したい。
大麻などの違法薬物に安易に手を出さないために必要なのは「正しい知識」。
県警では、薬物乱用防止教室の回数を増やすなどより啓発に力を入れたいとしている。また、県教育委員会は、県内のすべて学校に薬物の危険性を呼びかけるチラシを配布したということだ。
(テレビ宮崎)