佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備で懸念されるのが有明海の水質への影響。このため駐屯地とともに「排水対策施設」が建設された。通年ではなくノリ養殖の時期に合わせて稼働する予定だ。
雨水と海水で塩分濃度など調整し排水
佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備に伴い設けられた「排水対策施設」は駐屯地の外にあり、5月30日に完成した。

雨水を一時的に貯めておく約7ヘクタールの貯留池や海水を吸い上げるポンプ場などが整備され、雨水と混ぜ合わせ塩分濃度を調整した後に海に排水する仕組みだ。

7月9日のオスプレイ配備が迫る中、佐賀県の山口知事は6月4日、「排水対策施設」を視察した。

佐賀県 山口知事:
(2025年)5月いっぱいに海水混合施設については工事が終わると聞いていたので、予定通り終了して、これが機能するのはまたノリの漁期9月の途中と思うが、1つ準備がしっかりできたということだと思う
有明海の水質・環境への影響を懸念
オスプレイの配備によって懸念されているのは有明海の水質への影響。タイラギをはじめアゲマキやウミタケなどの二枚貝は休漁や禁漁が続いていて、かつて「宝の海」といわれていた有明海の水質改善は大きな課題だ。

養殖ノリも毎年のように色落ち被害に見舞われていて、漁業者は、排水による水質悪化や事故による漁への影響を心配している。

このため、環境保全や事故発生時の対応などについて話し合う協議会の初会合が4月17日に開かれた。
「漁業に影響ないようにしてほしい」
会合には、県と佐賀市、九州防衛局、県有明海漁協の担当者が出席。駐屯地が開設されたあとの「騒音の測定」や「排水の水質の確認」といった環境保全対策のほか、事故が起きたときの補償について漁業者などの意見を適切に反映させることなどを確認した。

佐賀県有明海漁協 西久保敏 組合長:
とにかく駐屯地開設がわれわれの漁業に影響がないようにしてほしい。事故がないようにしてほしいというのが私たちの率直な気持ちです

次回の協議会は、実際にオスプレイが配備された後、ノリの養殖が始まる前に開かれる予定で、駐屯地の幹部も加わるほか、必要に応じJAさがの担当者なども出席するという。県は「具体的な騒音や水質のデータなども共有できれば」としている。

佐賀県によると、排水対策施設は通年ではなくノリの養殖が行われる時期に合わせて稼働し、今後8月くらいまでをめどに試運転を行い、9月からの本格稼働に備えるという。
(サガテレビ)