初めての子育ては分からないことが多く、悩んだり戸惑ったりの連続だ。子育てに主体的に取り組む男性が増える中、新米パパを対象にした「子育てレッスン」が長崎市で開かれた。赤ちゃんにとって「第三者」である父親が信頼関係を築くためのスキンシップ法や、子供の発育を促す遊び方を伝授した。
目をしっかり見て、ゆっくり声かけ
長崎市で開かれた新米パパを対象にした子育て講座では、子供をあやすのに人形を使って練習してみた。

子供を高く抱き上げる“高い高い”は、パパならではの子供が喜ぶ遊び方だが、「月齢が小さい子供には“低い低い”から始めるのが良い」とのアドバイスだ。“高い高い”より子供を抱き上げる高さを低くすることで、恐怖心が生まれにくいという。

膝の上に少しだけ子供の足をのせ、パパの目線まで子供を抱き上げて「低い低い」。大切なのは「目をしっかり見てあげること」。そして「なるべくゆっくり」だ。

社会環境が変化し、父親も子育てに関わる機会が増えている。子供とのスキンシップの取り方を知ってほしいと、保育士歴10年で現在は「保育園・保育士アドバイザー」として活動するKASUMINさんが講座を開いた。

KASUMINさんは「生まれる前からお腹の中で一緒にいた母親と違い、赤ちゃんにとって父親は“第三者”だ」という。まずは「一緒にいる時間を増やし、安心できる存在であることを知ってもらうことが大切だ」と話す。
講座では、「パパと一緒にいることも、ちょっといいじゃん、楽しいじゃんと思えるきっかけをまず作ることが大切」と説明した。
歌いながら優しく触れる 発育につなげる遊び方も
音楽に合わせてスキンシップをとる方法も紹介された。歌を歌いながら、優しく触れることがポイントだ。これだと生後1カ月から挑戦できる。

スキンシップを取る時は「体の上から下に触れるようにすると刺激がどんどん生まれる」と話す。体を優しくゆすると、赤ちゃんも思わず笑顔になった。
2カ月ごろまでは優しく触れることから始め、“低い低い”は3カ月ごろから、“高い高い”などダイナミックな動きは5カ月ごろからと、月齢に応じて広げていくと良い。

子供はずりばいやハイハイをして自由に動き出すと、パパの元へ行こうとするようになる。この時も子供の発育につながるスキンシップがあるのだ。

パパの腕を伸ばして「乗り越えてごらん」とするように声をかけて誘導すると、乗り越えようとしてと手や足を使う。腕や足の力が強くなり、子供の運動機能が発達していくのだ。
娘が1カ月のパパは「まだ小さいのでどう関わったらいいんだろうと思っているときだったので、すごくありがたい機会だった」と話した。

娘が7カ月のパパはちょうどずりばいを始めた頃だということで、「パパの体をうまく乗り越えようとするかかわりをやってみようと思った」と、月齢にあったアドバイスが早速役立ちそうだった。
夫婦で子育てについて話すきっかけに
0歳から3歳にかけては脳の発達が急速に進む時期で、脳の80%が完成するといわれている。

この乳幼児期に思い切り遊ぶことで、考える力、感じる・気づく力、動く・表現する力などが育っていく。特に父親とのコミュニケーションが多い赤ちゃんは、自然と社会性が身についていくといわれる。
スキンシップのポイントとして、いくつか紹介された。

スキンシップのポイント①:話しかけるときは高い声で。子供の耳の発達は未熟なので、高い声のほうが反応しやすいといわれている。普段の声よりも少し高めの優しいトーンで「〇〇ちゃん、おはよう」と話しかけてみよう。

スキンシップのポイント②:スキンシップのタイミングは子供の機嫌がいいときを見計らい、吐き戻しを防ぐためにも食後30分以降がおすすめ。

初めての子育てでは、父親と母親で子供へのアプローチの仕方が違い、悩むケースもある。KASUMINさんは、「家族との子育てについて話し合えるきっかけづくりになれば。質の良いスキンシップのとり方や、自分の家庭でできることをうまく探しながらやることが大切なのではないか」と話す。
KASUMINさんは、今後も父親と母親を応援する講座を開く予定だ。
(テレビ長崎)