コメ不足の中、待望の政府備蓄米が鹿児島県内で販売され、多くの店舗で即日完売の人気ぶりを見せている。スーパーからコンビニまで、様々な小売店で取り扱いが始まった備蓄米は、価格の手頃さから消費者の強い関心を集めている。
早朝から200人の列 南さつま市のスーパーでは整理券争奪戦
南さつま市加世田のスーパー、ピコでは6月14日、政府備蓄米の販売日に約200人が詰めかけた。午前8時からの整理券配布を求め、中には午前6時前から並ぶ熱心な客もいた。

「整理券は12番。おいっ子が田んぼを作っているが、コメが足りなかったから少し買っていこうかと」と早朝から並んだ客は語った。
整理券の配布はわずか10分ほどで終了。180枚の整理券はすべて配られ、買えなかった客からは「ちょっとだけ海外のコメを買っていたが、やはり国産をとなると手が出ないので、ちょっとでも安いのを買えたら良かったが買えなかった」との声も聞かれた。
このスーパーで販売された備蓄米は5kg2160円(税込)。用意した180袋はすぐに売り切れた。購入できた客は「お昼に炊いて食べてみたいと思います。おいしかったらまた売っていたら買ってみたい」と期待を寄せた。
ピコの後野隆公店長は「コメの価格は去年から2倍~2.5倍上がっている。『高いね』という客からの声がかなりあった。今回、備蓄米どうなるかと思っていたが想像を超えた」と驚きを隠さなかった。

県内各スーパーの販売状況 次回入荷は7月以降の店舗も
県内の他のスーパーでも備蓄米の販売が行われている。タイヨーでは6月13日から県内全店で販売を開始し、日曜を除く毎日、店舗ごとに50~200袋を提供している。
山形屋ストアでは14日の販売分がすでに売り切れ、次回は7月以降に5kg2160円(税込)で販売予定だ。ニシムタは16日に5kg1980円(税込)でフランチャイズの店舗を除く県内全店で販売したが、次回の販売は未定となっている。
一方、マックスバリュなどを運営するイオン九州の鹿児島での販売時期はまだ決まっていない。
コンビニでも手軽な量で販売開始 「重くない」と好評
15日からは南九州ファミリーマートの一部離島を除く店舗でも備蓄米の販売が始まった。1店舗につき5袋ずつ、1袋1kg388円(税込)という手頃な価格設定で提供。1人1袋の制限があったが、取材した鹿児島市の店舗では約20分で売り切れとなった。
「安いと思って買いに来ました。いつでも買えるし重くない。これくらい(1kg)でも大丈夫」と購入者は語る。小分けサイズの便利さも人気の理由のようだ。

ローソンでも14日に1店舗につき2kg入りを2袋限定で販売。次回の入荷は7月上旬の見込みだ。セブンーイレブンは7月中に無洗米2kg、775円(税込)での販売を予定している。
離島にも届いた備蓄米 奄美大島では20分で完売
17日には奄美大島と徳之島のコンビニエンスストアでも備蓄米の販売が始まった。奄美市のファミリーマート名瀬平田店に備蓄米が届くと、わずか20分ほどで完売する人気ぶりだった。

「良かったです。値段が安いので、半額くらいで買える」「うれしいです。なかなか手に入らないと聞いていたので、地元に届くのはありがたい」と購入者は喜びを語った。
南九州ファミリーマート運営部・奄美駐在の菅原祥太さんは「店舗への電話やスタッフへの問い合わせは多かった。県本土と同じように離島で提供できたのは大きい意味があったと思う」と、離島での販売の意義を強調した。
次回の入荷時期は未定だが、コメ価格高騰が続く中、政府備蓄米の販売は県民の家計の強い味方になっている。
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