鹿児島市のスーパー「サンキュー新栄店」で6月8日、2022年産の政府備蓄米の先行販売が行われた。開店前には約1200人もの買い物客が列を作り、中には午前1時から並んだという人の姿も。県内初とみられる随意契約の備蓄米販売に、市民の関心の高さがうかがえた。

雨の中、早朝から1200人が列を形成

8日午前8時、時折大粒の雨が打ちつける中、店の前には約1200人の買い物客が列を作っていた。先頭に並んだ客は「(午前)1時からです。眠たいです」と疲れた様子ながらも期待を隠せない様子だった。

サンキュー新栄店を含め、鹿児島と宮崎でスーパーを展開する「タイヨー」は、2022年産の備蓄米1500トンを確保。この日は約36トン分、5キロ入り6000袋を店頭に並べた。価格は税込1980円で、1家族1袋までという購入制限が設けられた。

店側は多くの客が殺到する状況を考慮し、予定より30分早い午前9時に開店。来店客は真っ先に備蓄米を受け取っていった。タイヨーではそれぞれの店舗で販売すると1店舗当たりの入荷量が少なくなるため、この店舗に絞って先行販売を行ったという。

予定より30分早い午前9時に開店
予定より30分早い午前9時に開店
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甑島からの客も「買えてよかった」

この日は、たまたま鹿児島市を訪れたタイミングで先行販売を知ったという薩摩川内市・甑島の買い物客もいた。

「こんなにいるとは思ってなくてびっくり。子どもたちがいると高い米だとちょっと」

県本土とはフェリーで行き来する甑島では「店頭にはほとんど在庫がなくて、入ったとしても少なくてすぐ売り切れる。買いたい時になかなか買えない」という状況だったという。

「きょうは買えてよかった」「早く食べたいです」と安堵の表情を見せた甑島からの買い物客。この言葉からも、離島における米の供給状況の厳しさがうかがえる。

たまたま鹿児島市を訪れたタイミングで先行販売を知ったという
たまたま鹿児島市を訪れたタイミングで先行販売を知ったという

喜びの声と今後への不安

先行販売された備蓄米を手に入れた客からは「すごくうれしいです」「これで米がたくさん食べられるからうれしい」という喜びの声が聞かれた。午前1時から並んだ女性は「やっぱりうれしいです。チャーハンにしたい」と笑顔で話した。

備蓄米を購入できて笑顔も
備蓄米を購入できて笑顔も

一方で、「3人家族です。元気な子がいるので。1袋じゃ足りない」「米は毎日食べるものなので、価格が高いと手が届かないからありがたい。備蓄米が無くなったあとの米の値段がどうなるか。少しでも下がればいい」と不安の声も聞かれた。

鹿児島県内の他店舗でも販売予定

準備された6000袋は当日午後6時半に完売。タイヨーでは6月13日にもグループ全店での販売を予定している。

鹿児島県内の他の小売店でも販売予定が明らかになっている。なりざわ(県内4店舗)では6月14日に各店で200袋ずつを販売し、価格は5キロ2160円、1人1袋までで午前7時半から整理券を配布する。

他の小売店では
他の小売店では

南さつま市と日置市でスーパーを展開するタイヘイも6月14日に販売予定で、価格は5キロ税込み2160円、1家族1袋まで、開店1時間前に整理券を配布する。

コンビニエンスストアのローソンでも、6月14日から販売を開始。価格は2キロ756円となっている。

備蓄米を求めて多くの人が列を作った今回の先行販売。手に入れた喜びの一方で、「備蓄米がなくなったあとの米の値段はどうなるのか」という不安も広がっている。今後も安定した米の供給と、誰もが手に取りやすい価格が守られることを願いたい。

(前の記事を読む:「原料米不足で危機感」 鹿児島の焼酎業界、減産や値上げも視野に

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