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 不二製油は2025年4月28日にプレスリリース「植物性ダシ貝タイプ新発売のお知らせ」を発表した。同製品は動物性のダシを植物由来原料で表現する製品シリーズ「MIRA-Dashi®」の新製品でこれまでのビーフ、チキン、白湯、カツオタイプに続く新製品だ。昨今のインバウンドの盛り上がりにより、さまざまな文化や食習慣などの多様性、外食産業におけるオペレーション負荷低減といった需要から引き合いが増えている。また、MIRA-Dashi白湯タイプは「豚骨を使わないとんこつ風ラーメン」として紹介される等、メディアからの関心も高まっている。


<プレスリリース>

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 そのMIRA-Dashi®の新製品「MIRA-Dashi C500」を開発した人物が2023年入社の不二製油 基盤新技術開発部(開発当時)の櫻井 結穂だ。

今回、櫻井にどのようにしてMIRA-Dashi C500を完成させたのか、開発の裏側について話を聞いた。


・なぜ貝ダシなのか?

―今回新たに登場したMIRA-Dashi C500の風味は貝。しかし貝のダシというと、家庭ではあまりなじみがない印象ですが、貝をターゲットにした理由は何ですか?


(櫻井)「確かに貝ダシは一般家庭で使用される機会は少ないと思います。しかし、貝ダシはクラムチャウダーのクリームスープや、ボンゴレビアンコパスタ、魚介系の塩ラーメンスープなど、和洋中様々な料理のジャンルで隠し味的な使い方で幅広く使用されています。あらゆる料理のうま味のベースとして貝ダシを使用し、そこにプラスして他のダシを組み合わせる使い方をするので、貝ダシは頻繁に使用されます。その為、貝ダシのストックを作る必要があるのですが、足が早いので翌日には持ち越すことが出来ず、安定した品質のダシの確保が難しい。

 隠し味的な役割だけど、その仕込みに手間やエネルギーコストをかけなければならないという課題感がホテル業界や外食業界の料理人の方々へのヒアリングを通して分かってきました。

 また、近年ではホタテやカキなどは漁獲量減少が指摘されており、地球温暖化による海水温の上昇などにより将来的な水産資源の供給不安が懸念されています。

MIRA-Dashi®はペーストを水に溶かすだけで安定した品質のダシを作ることができ、希釈の調整によって好みの濃度でダシを作ることが出来ます。植物原料由来なので将来的な供給懸念にも対応できると考え、MIRA-Dashi®の貝タイプを作ることを決意しました。」

貝ダシはあらゆる料理ジャンルにて隠し味的に使用されている


・なぜ貝の風味を植物性で作れるのか?

―植物性ダシ製品MIRA-Dashi®にはこれまでビーフ、チキン、白湯、カツオタイプがあります。そもそもなぜ動物性のダシを植物性で作ることが出来るのでしょうか?


(櫻井)「MIRA-Dashi®には植物性の油脂と大豆たん白で動物性特有の満足感を表現する技術『MIRACORE®』が使用されています。この技術のポイントは『動物っぽい』風味を作っているという点です。

 例えば、『豚骨を使っていないとんこつ風ラーメン』ですが、うま味=グルタミン酸ナトリウムの様な、豚骨を豚骨たらしめている成分を作っている訳ではありません。豚骨にはクリーミーさやコンソメっぽさ、赤み肉っぽさ、そして動物っぽさなど、あらゆる風味を構成する要素が集合して初めて成り立っています。これらをコンソメっぽさは炒め玉ねぎ、赤み肉っぽさはきのこと、このように植物素材から要素を取ってきてそれらすべてを調和させることで『豚骨っぽい』風味を表現しています。

 きゅうりに蜂蜜をかけるとメロンの味がするといいますが、違う材料の組み合わせによって風味を表現するという意味で、イメージとしては似ています。

貝ダシはこの動物っぽい要素の中に”磯”の要素を加えることで、魚介系の風味に近づけました。」

MIRACORE®の風味づくりでは、大豆たん白と植物性油脂で「動物っぽさ」のベースをつくり、さらに食材特有の風味を素材の組み合わせて表現する


MIRA-Dashi®はMIRACORE®の技術であらゆる植物原料から風味要素を組合せて

『〇〇っぽい』風味を表現する


・「あさり」でも「蛤」でもなく「”貝”」のダシをつくる

―貝だしの開発の担当となり製品化に至るまでの苦労はありましたか?


(櫻井)「最初はどこに風味の軸を置いたらいいのか全く見当がつかなかった点です。あさりや蛤などの特定の貝種を代替することが目的ではありませんので、あらゆる料理に幅広く使用ができる”貝っぽい”風味を目指すにあたり、試作品を作ってみてもその風味がゴールに近いのかどうかもわかりませんでした。

 開発には自分なりの風味の軸とゴールを持つ必要があると感じたので、時間を見つけてはジャンル問わずに貝を使った料理を食べに行き、食事の際に貝がメニューの中にあったら選ぶという生活をしばらく続けました。すると自然とこれはいい貝の味だ、この貝の風味はイマイチだな、というように自分の中で貝の風味の評価軸が何となくできてきました。

 そこからはあさりや蠣や蛤やシジミなど、あらゆる”貝”を包含した輪の中に入るダシを作るイメージで試作をひたすら繰り返しました。かなり貝だしのイメージに近くなりはしたのですが、ずっと何かが足りないという感覚が拭えず、もがく日々が続きました。」


・貝の気持ちになって考える

―製品完成のきっかけがあったということですか?


(櫻井)「きっかけは海洋深層水です。『何かが足りない』の感覚は何なのかを考えた時に、貝の気持ちになって生活環境を想像しました。貝は海中で海水をろ過することによってプランクトンを食べて生きています。そしてその海水からミネラル分も吸収・蓄積させているので、その要素が重要なんじゃないかという発想が出てきました。

 そこで、植物性ダシに海洋深層水を加えると、本物のあらゆる貝ダシが持つ厚みのような風味の要素が加わり、これまで足りないと感じていた部分が自然と埋まった感覚になりました。

 その試作品のダシを同部署のメンバーに試飲してもらったところ、皆さん口を揃えて『これは貝だね!』とコメントをいただくことができ、MIRA-Dashi C500が完成しました。」

MIRA-Dashi C500 貝タイプには原材料に「海洋深層水」が使用されている


・進む植物性ダシの挑戦、目指したい未来とは

―新製品のMIRA-Dashi C500を通して目指したい世界はありますか?


(櫻井)「あまり知られていないですが、貝にもアレルギーはあります。そういった方でもMIRA-Dashi C500を使用した料理を召し上がっていただくことで食の楽しさを広げられるかもしれません。

 あらゆる料理に幅広く使われている貝ダシだからこそ、植物性で簡単に使用することができ、おいしさの決め手にもなる。そんな万能なダシのような形で多くの料理人のみなさまのお役に立てることができればとても嬉しく思います。」

大学では亜熱帯植物固有の光合成機構を研究していた櫻井。特有の環境に棲む生物の状態を想像する力が貝だしの開発にも活かされたのかもしれない。




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