ドクターイエローは新幹線のお医者さんとも呼ばれる検査用車両だ。そのドクターイエローのT3編成が2025年6月、石川県白山市のトレインパーク白山で常設展示されることになった。

新幹線のお医者さん

ドクターイエローは新幹線とほぼ同じ最高時速270キロで走りながらレールや架線の点検を行う。車両内の窓からは架線とパンタグラフの状況を確認することができる。ドクターイエローは時刻表が公表されていないため「幸せの黄色い新幹線」とも呼ばれていて、鉄道ファンから大変な人気を集めている。

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ドクターイエローは2025年1月JR東海の車両、T4編成が老朽化を理由に引退。この引退した車両が愛知県名古屋市にあるリニア・鉄道館で展示されることになった。ただ、リニア・鉄道館にはすでに先代のT3編成が展示されていて、T4とT3を入れ替えることに。そこでT3がトレインパーク白山に移されることになったのだ。

2024年、石川県白山市にオープンした「トレインパーク白山」は北陸新幹線の車両基地である白山総合車両所に隣接していて、新幹線の点検や整備の様子を見学することができる。さらに時速200キロ以上で走る北陸新幹線を間近に見られる展望デッキや全国初となる北陸新幹線の運転体験ができるシミュレーターが人気を集めている。

期待を寄せるトレインパーク白山

いよいよトレインパーク白山にドクターイエローがやってくるが、どこに展示されるのだろうか。案内された場所には、砂利が敷かれて線路と枕木がセットされていた。展示されるのは入口近くの広場に設置された線路だ。

トレインパーク白山の小山一徹センター長は「ドクターイエローという非常に人気のある車体で、広くたくさんの方に愛されている車両を展示できるっていうのは施設としていろんな方にお越しいただけるチャンス」と胸を躍らせている。

名古屋市から白山市へ搬送

待ち遠しいドクターイエローの到着。そこで、一足はやく名古屋市のリニア・鉄道館に足を運んだ。ドクターイエローは歴代の貴重な新幹線の車両に並んで展示されていた。T3編成の特徴は愛らしい鼻の部分。まるくてぽてっとしたデザインで、近寄るとその大きさが際立つ。

この日はドクターイエローT3編成がリニア・鉄道館で展示される最後の日。別れを惜しむ鉄道ファンが詰めかけていた。「ドクターイエローT3編成がここから無くなるということで京都から来ました。魅力はこの円形というかこの車体ですかね」「これだけのために富山から来ました。白山市にも会いに行きます!」

どうやって車両を施設の外に出すのかというと、車両の下にレールが敷いてあり、後ろにゴロゴロと転がしてトレーラーで運ぶ流れだ。後日、実際に行われた引っ越し作業は、抽選で選ばれた鉄道ファンとともに行われ歓声が上がった。「貴重な体験ができて生きててよかったなと思いました」「寂しいですね、石川にもまた会いに行きたいなと思います」

展示前からドクターイエローグッズも人気

ドクターイエローを目当てにやってくる鉄道ファンを歓迎しようとトレインパーク白山も準備を進めている。土産売り場にはT3編成の到着前からドクターイエローにちなんだ商品50点が並んでいる。オリジナル商品のマグネットにはトレインパーク白山の文字が入っていた。ここ1カ月で100個以上売れているそうだ。

さらに、トレインパーク白山を背景にしたドクターイエローの缶バッジやアクリルスタンドが入ったカプセルトイも用意されている。ドクターイエローの展示は6月20日から。「幸せの黄色い新幹線」が白山市にもたくさんの笑顔を運んでくれそうだ。

ちなみにドクターイエローがいつ白山市に到着してどのように搬入されるかは、秘密だそうだ。21日と22日には黄色のものを身に着けて来場した人へのステッカーのプレゼントや当日撮影した写真を缶バッジにできるイベントが行われる。

(石川テレビ)