広島の原爆投下直後に放射性物質を含む、いわゆる「黒い雨」を浴びたとして岡山市の女性が岡山県に対し、被爆者健康手帳の交付を求めている裁判で、被告の岡山県は争う姿勢を示しました。

訴えを起こしたのは岡山市に住む84歳の女性です。

訴状などによりますと、女性は4歳の時に、広島県の旧津田町の自宅近くで「黒い雨」を浴びたとして2024年3月、岡山県に被爆者健康手帳の交付を申請しました。

しかし、岡山県は、「当時いた場所に黒い雨が降ったことが確認できない」として、24年7月に申請を却下。訴えでは、この却下取り消しと手帳の交付を求めています。

岡山地方裁判所で6月10日に開かれた第1回口頭弁論で原告側は、「女性の話は具体的で、信用性を阻害すべき事情はない。手帳の申請却下は違法」だと主張しました。これに対し被告側は、「女性が黒い雨に遭った事実は認められない」として、争う姿勢を示しました。

「黒い雨」を巡っては2021年7月に広島高裁で、国が定めた範囲より広く雨が降ったと認められ、2022年4月から新基準が運用されています。しかし、女性の当時の自宅は、新基準の雨の範囲からわずかに外れていて、広島では、女性の知人ら41人が同様の訴えを起こしています。

(原告団 則武透弁護士)
「雨域はもっと広いし、本人の具体的供述があれば認めていいというのが広島の判決の神髄。80年苦しんでいる人を救済しない国が今後、日本の平和を守っていけるのか」

次の裁判は8月19日に行われる予定です。

岡山放送
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