小泉農水相の随意契約による備蓄米の放出で「精米需要」が激増。
ところが肝心の備蓄米が届かない…。
全国から精米依頼が相次ぐ広島県内の米卸業者は、人員の補充や夜間稼働も検討しながら備蓄米の到着を待っている。
1日200トン体制、夜間稼働も視野に
随意契約で政府備蓄米が売り渡される中、東広島市志和町にある米卸業者「食協」の工場に、精米加工の申し込みが相次いでいる。

「県内外あわせて10以上の会社から申し込みがあります」
そう話すのは、食協の社長・武信和也さん。
備蓄米は玄米のまま売り渡されるため、小売業者の中には精米機を持たず、外部に加工を依頼せざるを得ないケースも多い。

同社の工場は、1時間あたり約30トンという全国最大規模の精米能力を誇るが、すでに精米機は1日8時間のフル稼働。現在、倉庫にあるのは競争入札の備蓄米のみ。随意契約分の備蓄米が届けば、現場はさらに対応に追われる見通しだ。
「随意契約のコメが入ると、1日200トンほど処理しなければならない。間に合わなければ夜間も精米していかないといけない」
「一つも搬入日が決まっていない」
ところが、現時点では随意契約による備蓄米がいつ届くのか、そのスケジュールすら不透明だ。

「国のほうから倉庫に直接搬入がないと精米できない。いまのところ一つも着日が決まっていないのが現状です」と武信社長は語る。
食協では人員の補充も視野に入れながら、精米需要に対応するため体制を整えている。
一方、広島大学大学院の匹田篤准教授は構造的な課題に言及する。
「精米機の能力には限界があります。急な放出で精米量が増えれば、置き場や袋の不足など次の問題が出てくる。コメの価格の安さと同時に、供給の安定が重要です。私たちもピークを越えるまで我慢する必要があるかもしれません」
コメの流通を支える卸業者もまた、国の政策に翻弄されている。
(テレビ新広島)